北陸新幹線も延伸! 「観光」で石川県を復活させるために、今、政府がなすべきことは何か?
寝台特急で提供された“幻の駅弁”
旅の目的として食は重要な位置づけを占めるが、旅情とともに食を楽しむのには 「駅弁」 がある。金沢には“幻の駅弁”といわれた駅弁が存在している。 1830(天保元)年創業の金沢の老舗料亭「大友楼」の「加賀野立弁当」である。 2015年まで運行していた寝台特急トワイライトエクスプレスの乗客を対象に、予約制で提供されていた。1万円という価格とともに今までにないゴージャスな高級駅弁として大きな話題となり、なかなか予約が取れないため“幻の駅弁”と呼ばれるようになった。 駅弁は風呂敷に包まれた2段仕立ての箱で、下の段は引き出しとなっており、高級感を演出している。石川県の贅を尽くした料理が20種類ほど詰め込まれており、内容は都度変更されるためお品書きはないが、 ・ぎっしり詰められた肴(さかな)類 ・治部煮や寿司 ・水菓子 などが盛り込まれている。現在は駅弁としての販売は終了しているが、大友楼が通販で予約を受け付けており、購入できる。 現在は全国各地でレストラン列車が運行され、このような2段仕立ての箱に地元の幸を詰め込んだ高級な駅弁がよく提供されているが、加賀野立弁当がそのイメージの“先駆け”といえるだろう。 しかし、当時は他の地方で1万円の駅弁を提供してもここまでの評判にはならなかったかもしれない。金沢・加賀の持つ雅なイメージがこの高級な駅弁への期待感をさらに増幅させたといえる。
駅弁復活&臨時列車の提案
今こそ、幻の駅弁を“復活”させてはどうだろうか。 北陸新幹線の東京~金沢間は所要時間約2時間であり、食事を楽しむのには時間が短いという問題はあるが、石川県の食のプロモーションを図るために、臨時列車の運行など対応できないだろうか。 食事が時間的に難しければ、「スイーツ列車」という選択肢もある。金沢が誇る和菓子や地元のスイーツを抹茶や加賀棒茶などの日本茶とセットで提供する。アルコールとのペアリングもよいかもしれない。 また、他の地域で時々実施が見られるが、「飲み比べ列車」として地元の蔵の日本酒飲み比べと地元食材の肴のセットを提供することも考えられるだろう。石川県以外が目的地の人も車内では石川県の食を楽しめる。気に入った食品や酒は通販につながることもあるだろう。 多彩な食文化のある石川県だけにさまざまな選択肢が考えられる。他の地域では知られていないハントンライスの“駅弁化”も考えてほしいところだ。息の長い取り組みで石川県観光を盛り上げたい。