’24政治決戦(2)旧統一教会問題の行方は
裏金、教団問題ともに源流は安倍派
岸信介の孫である安倍自身は当初、旧統一教会と一定の距離を置き、警戒していた節がある。2005年に国政進出の相談に訪れた人物が教団と親しくしていることを知り、「あの団体はダメだ。あんな団体と仲良くしてはいけない」と発言していたとの情報を私は得ている。 その一方で、当時の教団内部資料には反ジェンダー工作を報告する相手として安倍の名前が出てくる。安倍は旧統一教会を含めた宗教右派、伝統的家庭観を持つ強硬右派に強く支持されてきた。 安倍には反日的な教義を内包する教団への嫌悪感もあったのだろう。だが第2政権発足後最初の国政選挙である2013年参院選において、教団側に組織票の支援を依頼する。当時、私が入手した教団内部FAXには「首相からじきじき依頼」として安倍の肝いり候補者への支援要請の文言があった。その裏付けとなったのは朝日新聞が9月17日にスクープした2013年の自民党総裁応接室における教団トップらとの面談写真だ。 以後の国政選挙において旧統一教会は安倍政権に多大な「貢献」をする。 安倍の最側近で2013年の総裁応接室での密談に陪席した萩生田光一元政調会長は、2014年の衆院選の前に地元八王子市内で開かれた教団の講演会で来賓として挨拶した。翌2015年にはやはり安倍の側近だった文科相(当時)の下村博文が統一教会の法人名変更のために文化庁へ圧力を掛けたと指摘された。萩生田、下村ともに今回の衆院選では裏金問題とのダブルパンチで苦戦した。 2021年に安倍は教団系のオンラインシンポジウムにビデオメッセージを寄せ、文鮮明の妻である韓鶴子総裁を礼賛する。その経緯を関連団体トップは「第2次安倍政権発足後の6度にわたる国政選挙における私たちの貢献」と礼拝で発言している。 旧統一教会の政界工作は日本にとどまらない。米政界にも浸食しており、ドナルド・トランプ前大統領やマイク・ペンス前副大統領、マイク・ポンペオ元国務長官といった米共和党の有力政治家が旧統一教会のイベントに登場するなどして対価を得ている。ポンペオは日本で開催された旧統一教会が仕切る宗教サミットに登場し、日本政府による教団への解散命令請求を批判までしている。