「笑点だから」と許されている部分はある──変化を続けて55年、長寿番組の裏側
「僕はどちらかというと、そこまで気にしない人間なんですよ。でも、番組を傷つけたり、メンバーに迷惑をかけたりしてはいけない。あまり悪目立ちしないように気をつけています。今の時代、何かすると、ネガティブに拾われてしまう傾向がある。ポジティブな声があれば、心強いのは確かです。それに、他の番組と比べて『笑点だから』と許されている部分はある気がします」(福田氏) たしかに、三遊亭小遊三は「スッポンポン」「ノーパン」「袋とじ」と下ネタを連発しているし、林家木久扇は「バカ」「木久蔵ラーメンまずい」とイジられ続けている。 「長年積み重ねてきたキャラクターがありますからね。『木久扇さんにバカって言うな』という抗議は来ないですね。本人が言っているから、許されている部分もあると思います」(福田氏)
「うっせぇわ」のような流行も取り入れ、時代が掴めるようにしたい
メンバーのネタを含め、『笑点』は“マンネリ”と批判される事もある。しかし、目に見えない変化が絶えず起こっている。自称イケメンの小遊三はアラン・ドロン、福山雅治という定番に加え、最近は自らを横浜流星に例えることもある。三遊亭好楽は「第7世代」というワードを頻繁に使っている。 「実際、好楽さんが『第7世代』の意味をどこまで理解しているのかわかりません。知らない言葉を勝手に使いたがる。そこが、おかしいところでね。本当は知らないんでしょ? と周りから突っ込まれる、それがキャラクターなんですよ(笑)」(飯田氏) 毎週、9人の作家が100問ほど持ち寄った中から3問に厳選する問題にも、変化が見られる。今年3月21日の2問目では、Adoの話題曲『うっせぇわ』を使用した。 「都々逸のような他の番組では全然やらないこともしつつ、『うっせぇわ』のような流行も取り入れる。10年前ならおそらく取り上げていないと思いますが、全体のバランスを意識しながら、『笑点』を見ていても時代が掴めるようにしたいですね。子供からお年寄りまであらゆるターゲットの方に楽しんでいただくこと、それが番組の存在意義だと思っています」(福田氏)