「ぜひ前向きに検討し、金曜までに決定するとのことでした!」と上司に報告したら、問い詰められてしまった。いったいなぜ?
「頑張っているのに、結果がついてこない」「必死に仕事をしても締め切りに間に合わない」同僚は次々と仕事を片付け、成果を出し、上司にも信頼されているのに、「なんでこんなに差がつくんだ……」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか? ビジネススキルを発信するTikTokのフォロワーが19万人を超え『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった「超優秀な人が秘かにしている仕事のコツ」を本記事で紹介します。 ● 「事実」と「主観」は切り離す 仕事ができる人は常に論理的に考え、客観的な根拠を求めます。 客観的な根拠があることで、人を理解させ、説得し、行動を促すことができるからです。 客観的な根拠とは「事実」です。 逆に言うと、事実が明確でないものに対しては、常に半信半疑の姿勢をとるのも仕事ができる人の特徴です。 事実をもとにしたコミュニケーションをしなければ、仮に相手を説得できたとしても、誤った行動に導いてしまう可能性があります。 あなたも、次のような場面に遭遇したことはないでしょうか? ● 言い方ひとつで、上司の期待も失望に変わる とある新規の法人営業をしていたAさん。上司の期待を一身に受け、渾身の提案書をつくります。 そして意気揚々と提案に向かい、さきほどプレゼンを終え、戻ってきました。 早速Aさんは、上司にプレゼンの結果を伝えます。 「今回の提案内容について、ぜひ前向きに社内で検討し、金曜までに決定するとのことでした!」 上司は喜び、Aさんを称えます。そして案件を取りこぼすことのないよう、フォローアップの対策や、導入後の体制を整えるように指示を出したのです。 しかし後になって、この案件は頓挫することになり、Aさんは上司から改めて問い詰められました。 そこで次のようなことがわかったのです。 ・伝えたこと 「今回の提案内容について、ぜひ前向きに検討し金曜までに決定する」 ・事実 「今回の提案内容について、金曜までに検討する」 この違いがわかりますか? 事実っぽく伝えているものの、実はAさんの「こうあってほしい」願望が上司への報告に組み込まれていたのです。 まず「ぜひ前向きに」という言葉が加わったことで、「相手が好意的に受け取っている」というニュアンスで上司に伝わります。 さらに、「検討する」も「決定する」に変わっていました。 Aさんの希望的観測、つまりは勝手な想定に沿って、取引先の発言が言い換えられていたのです。 ● ちょっとした言葉でも付け足してはいけない 事実が「実際にあった事柄」であるのに対し、想定は「自分の考えで仮定してみること」です。 Aさんは、事実を事実として伝えていなかったのです。 事実を伝えることは、自己の承認欲求や保身の感情をどれだけ抑えられるかにかかっています。 たったひとつの言葉であっても、想定で「付け足し」たり「変更」することで、伝わり方は大きく変わってしまいます。 事実を事実として伝えられないと、Aさんの信頼性そのものが疑われます。 そして、仕事を任せにくくなり、成長も昇進もできなくなる悪循環に陥るのです。 今回のケースを事実として正しく伝えるのであれば、次のとおりとなります。 ● 「事実は〇〇」で「私の主観は〇〇」と分ける 「先方のX社の佐藤部長は『今回の提案内容について、来週の金曜までに社内で検討する』とおっしゃっていました。 私の主観として、おそらく前向きに社内で意思決定していただけるのではと考えています」 客観的な事実と、自分自身の主観を分けて伝えることで、その場にいなかった第三者に状況を正確に伝えることができます。 コンサル時代、よく「お客様の状況はWord to word(=一言一句変えず)で伝えろ」と指導されたものです。 あなたが誰かに情報を伝える際にも相手からの情報を整理する場合にも、「事実は○○で、私の主観は○○です」と切り分けることを、ぜひ意識してください。 相手に正確に情報を伝え、正しいアクションを導くことができます。 (本記事は『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の一部を編集・加筆した原稿です)
西原 亮