大阪で26年「CAFE GARB」が休業へ 90年代カフェブーム牽引、開業時は珍しい「大箱カフェ」で注目集め
■ ワンフロアからのスタート「とりあえずGARBに行けば」
大阪・南船場のランドマーク的存在として、26年間親しまれてきた「CAFE GARB(カフェ ガーブ)」(大阪市中央区)が、10月20日に休業する。90年代のカフェブームを牽引した同店、開業時は当時では珍しいイベントも楽しめる大箱の店として注目を集めた。 【写真】ドラァグクイーン登場で大盛り上がり、休業前夜の店内 1998年5月に開業した同店は、天井高の吹き抜けやテラス席が特徴の4階建て・402席の大型カフェレストラン。開業時は「とりあえず1階だけでオープンしよう」と、ワンフロアからのスタートだったという。 開業時からのシェフ・松本佳也さんは「昔の南船場は街灯も少ない暗いエリアで、人が歩いていると『うちに来るお客さんだ』とすぐ分かるくらい。最初は1階だけで営業予定でしたが、あまりのお客さんの多さに、1週間ぐらいで客席を2階にも広げたんですよ」と、その盛況ぶりを振りかえる。
開業時から同店に携わってきた企画部・北尾志津さんは、「これだけ大箱の店は珍しく、『初めてのコンパや2次会はここ』との声も多かったですね。グラスワインが300円で飲めたころもあり、お茶だけでも良いし、どんな時間でも『とりあえずGARBに行く?』という位置付けになれていたかなと」と笑顔。当時は店のテラスでお酒を楽しめるスポットも少なかったという。 現在は全国に13店舗を構える「GARB」だが、1号店である同店はビルの老朽化に伴い、移転先がみつかるまで休業することに。この発表後には、ランチだけで300人が訪れる日もあったそうだ。 店内の壁には、常連客やスタッフが持ち寄った多数の写真が貼られ、かつてのイベントや昔のカフェの様子が蘇る思い出スポットに。最終日前日のイベントでは店内がクラブ化し、大盛り上がり。久々に来店したという50代男性客は「当時は女の子が行きたがる店で、コンパで何回も来ましたね(笑)。料理もおいしかった」と当時を懐かしんでいた。 移転先には長年親しまれた「南船場」を希望する声も多く寄せられているそうだが、新店の場所は未定。同店の特徴であるキャパが大きく、開放的な空気感を引き継げるよう、さまざまな物件をまわっているとのこと。 「CAFE GARB」最終日10月20日の営業は、昼11時半から夕方6時まで(LOは夕方5時)。 取材・文・写真/塩屋薫