大谷、藤浪が再燃させた160km時代 球場によってスピードが違うって本当?
「160」の数字が、連日、スポーツメディアを騒がしている。日ハムの大谷翔平(22)が13日、札幌ドームでのオリックスで自らが持っていた日本最速記録を更新する164kmをマークすると、14日には、大谷と同年代の阪神、藤浪晋太郎(22)が甲子園での広島戦で自己最速となる160kmを叩き出した。だが大谷は、そのボールでオリックス、糸井嘉男(35)のバットをへし折りながらもライト前へ2点タイムリーをされたし、藤浪は、この回2失点して、また勝ち投手の権利を逃した。 試合後、金本監督は、「アウトローは甲子園は出やすいから」と160kmが出たことを大きなトピックスとして捉えなかったが、160kmを超えるボールがなぜ打たれるの議論の前に、甲子園で掲示された160kmの数字が、本当に正しいのかどうかのそもそも論がある。 現在、プロ野球の全球場がファンサービスのためにスピードガンを表示しているが、金本監督が指摘するように、球場によってそのコースによっても「出る」、「出ない」の差異が生じているのだ。 元千葉ロッテの評論家・里崎智也氏も「スピードガン表示の数字が数kmプラスで出ているように感じるのは、甲子園、神宮、コボスタ宮城の3つ。比較的出ないのが、西武ドーム。正確な数字に近いと感じたのは東京ドームと千葉マリンです」と言う。 日本のスピードの測定は、通称「スピードガン」と呼ばれる機器で行われて、スピードガンから電磁波をボールに照射して、跳ね返ってきた電磁波を受信し、いわゆるドップラー効果による周波数の差を測定することによりボールの速度を測定している。電波波をボールにぶつけるため、ピッチャーの真後ろから計測する必要があり、各球場のバックネットの一部に取り付けられているが、その取り付け位置によって、照射の角度が微妙に違い、ピッチャーが投げるコースによって、「出る、出ない」の差異が生まれるわけである。 阪神で長年チーフスコアラーをしていた三宅博さんも「神宮の低め、京セラドームのアウトコースの高めが2、3kmプラス。甲子園は外角低めだけが、2、3km増し。東京ドームと西武ドームが正確だったが、比較的、出ないとされている横浜スタジアムでもマシソンが160kmを出したことがある。ああいうリリースからボールに角度のあるストレートを投げる場合は出るときもある」と言う。