今の受験生にも無関係じゃない? センター試験「廃止」問題
大学入試センター試験が18、19日に行われ、いよいよ今春の大学入試が本格化しています。ところで大学入試といえば昨年、政府の教育再生実行会議がセンター試験に替えて1点刻みではない「達成度テスト」(仮称)を創設することを提言して、大きな話題になりました。ただし下村博文文部科学相も「少なくとも5、6年先の話」と言っていましたから、今の中学生が対象になるかどうか、といったところで、当面の受験生には関係がなさそうに思えます。確かに入試に限ればそうなのですが、実は晴れて合格した後の大学教育に、今から大いに関係してきそうなのです。
「大学入試」どう変わる?
昨年10月31日にまとめられた同会議の第4次提言は、高校版の全国学力テストとでも言うべき「達成度テスト(基礎レベル)」を実施して推薦・AO入試にも使えるようにする一方、大学入試では「達成度テスト(発展レベル)」を設けて成績を1点刻みではなくレベルで示し、「一発入試」で合格者を決めるのではなく受験生の能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価して、選点数以外の合否判定の基準を各大学で多様化してもらうことを提案しました。いずれのレベルも、高校在学中に複数回受験できるようにします。 「基礎レベル」の方は推薦・AOが一部大学を除いて実質的な学力不問入試になっている現状を改めるための「高校生に勉強させるテスト」として使い、「発展レベル」の方は受験のためだけに勉強する風潮を改めて「入学後にも勉強する学生を選ぶためのテスト」だ、と言えるでしょう。 その審議内容が6月ごろから一部で報道はされていたものの、入試制度を抜本的に変えようとする大胆な提言に「あまりにも唐突だ」「単なる思い付きではないか」といった反応も多く聞かれました。しかし、実際は少し違います。
高校と大学教育をセットで改革
「教科の知識偏重の入試から『意欲・能力・適性等の多面的・総合的な評価』へ」「1点刻みではないレベル型の成績提供方式の導入」――。実はこれは、第4次提言のものではありません。民主連立政権下の2012年6月、平野博文文部科学相(当時)が発表した「大学改革実行プラン」の文言です。文部科学省内に設けられたタスクフォース(特別作業班)によるものですが、実際には中央教育審議会(文科相の諮問機関)の大学分科会で議論されてきたことを参考にしたものでした。 いずれも、もともとは教育・研究を含めた大学の総合的な改革案の一環として出てきたことに、注意する必要があります。 社会の要請に応えて大学教育を変えるには、送り出す側である高校教育にも変わってもらわねばならず、そのためには大学入試も変えなければならない、という認識から出てきたものです。実行会議の第4次提言も入試改革だけでなく、高校教育と大学教育の改革をセットで求めています。