広島商・徳永は神宮で防御率ゼロ、130キロ台の直球でも空振りが取れるフォームが武器【この秋輝いた球児たち】
広島商(中国・広島)がこの秋の中国大会で31年ぶりに優勝し、明治神宮大会に初出場。2人の左右の投手を中心とした伝統の守りを武器に準優勝を収めた。投手陣を担う背番号10、徳永 啓人投手(2年)は、中国大会4試合中3試合に先発。「古豪復活のV」に大きく貢献した。 【成績一覧】徳永の中国、明治神宮大会の投手成績 一番、輝いたのは明治神宮大会の初戦となった東海大札幌(北海道)戦。先発して8回を4安打しか与えず無失点に抑えた。初回は、やや制球に苦しむ場面もあったが、2回以降は落ち着きを取り戻し、大きく縦に割れるようなカーブを武器に、右打者からも三振を奪えるようになっていった。 直球の球速は130キロ台と、特別速いわけではないが、打者は差し込まれたり、空振りしていた。徳永のフォームが独特で、左腕を体に隠れるようなテークバックのため、打者からは見えにくくなっている。打者からすれば、突然、左腕が見えたと思ったら球が来るイメージなのではないか。いわゆる球の出所が見にくい投手。直球に球速がなくても空振りが奪えるの秘密はここにあるのだろう。 東海大札幌に対しては、5回まで打者17人を無安打に抑える好投でもあった。準決勝、決勝はリリーフ登板し、イニング数こそ少ないが、自責点は0。延長11回にも及ぶ激戦で勝利した敦賀気比(北信越・福井)との準決勝では、最後の11回を締めくくる役目も担った。結局、明治神宮大会では10回を投げて防御率はゼロ。準優勝の立役者でもあった。 タフネス右腕・大宗 和響投手(2年)との「二枚看板」を形成する。右打者への外角のチェンジアップをマスターすれば、もっと投球の幅が広がるだろう。センバツで成長した姿をマウンドで見てみたい。