QRコード、セルフオーダー端末など…パンデミックがレストラン業界に残したもの(海外)
2. 客に見えるところでの清掃
一部のレストランが、以前よりも清潔さを熱心に示そうとしていることに気づいた人もいるかもしれない。 「高級レストランで目にするようになった大きな変化のひとつが、各所の清掃・洗浄です。以前の清掃は、円滑なサービスの印象を高めるために、ひそかに、目立たないように行われていました」 ロンドンで、ミシュラン二つ星レストランを運営するトム・セラーズ・ストーリー・グループのグループ飲料マネージャーで、ソムリエ責任者も務めるジョナサン・クリーマン(Jonathan Kleeman)はそう語る。 「パンデミック以降、清潔さのほどを、目に見えるかたちで示すことが受け入れられただけでなく、奨励までされるようになっています」とクリーマンは話し、テーブルのクリーニングなどの仕事をスタッフが隠すことが少なくなっていると続けた。
3. 使い捨ての増加
ロックダウン前は、使い捨て食器の削減に関して大きな進歩が見られていたが、パンデミックが起こると、カフェの多くは、繰り返し使えるカップの使用を促進する取り組みを後退させた。 パンデミック中に、衛生上の懸念から、カフェで使い捨てカップの使用が再び増えたのは無理もない話だ。しかし、ロックダウンが明けて数年が経ったいまも、使い捨て食器削減の運動は、勢いをなかなか取り戻せずにいる。 食品生産慣行に関する調査を専門とするプログラム「フードプリント(FoodPrint)」によれば、パンデミック以前でさえ、アメリカでは年間推定160億個の使い捨てカップが使われていた。そうしたカップは、スタイロフォームやポリエチレン、ポリプロピレンなど、リサイクルが難しい素材でできているものが多い。つまり、まっすぐ埋め立て地へ送られるということだ。
4. セルフオーダー用の端末
セルフオーダー用の端末(キオスク)は、レストランや食料雑貨店、さらには家具小売店にまで進出している。 この潮流は以前からあったが、パンデミック中に加速し、アメリカでは以降も続いている。こうした端末は、イギリスや欧州でもよく見かけるようになっている。 「いまでは、ロンドンの20席くらいしかない小規模なファストフードやテイクアウトの店でさえ、レジ係がほんの数メートル先にいるにもかかわらず、客が自分で注文を入力するセルフオーダー端末やスクリーンが使われています」とクリーマンは話す。 パンデミックのなかで普及したテクノロジーは、これだけではない。キングによれば、料理をテーブルまで運んだり、空いた皿を下げたりするレストランロボットも増えているという。 「ロボットのコストは2万ドル(約300万円)を超えるかもしれませんが、病気休暇が必要になることはありません」とキングは言う。 セルフオーダー端末とQRコードが増えているのに伴い、現金を使える場所も減っている。