赤ワイン「渋い」が始まり─21歳新米ソムリエ、知識“熟成”目指して奮闘中
どんな料理にどのワイン? シミュレーション繰り返す
「毎日が勉強です」。認定試験に突破した中川さんはパティシエとサービススタッフ、客の要望に応じ、ワインを選ぶ業務など、仕事の幅を広げていこうと努力の最中だ。ベテランのソムリエと比べて、自身は知識不足と、日々トレーニングを積んでいる。 具体的には、さまざまな種類のワインを一つひとつ試しながら、味や風味などの特徴を記憶して、どんな料理の時に提供するかをシミュレーションする。中川さんが働くレストランのオーナーシェフで、さらに経験や高い知識を求められる協会認定シニアソムリエの出口直希さん(40)に自分の考えを伝えて、“答え合わせ”。しかし、膨大なレシピが存在する中、正解は一つしかないわけではなく、自分が導き出すことができなかった料理とワインの“マリアージュ(相性)”を出口さんが提案することもあり、その新しい発見も知識として蓄える。 接客も、ワインについて出口さんが語り、常連客が興味深く聞いている場面を見ることで、刺激を受けた。「会話もソムリエのサービスとして大切。自分もお客様が楽しんでもらえるような、ワインの話ができるようにしたい」と目標にする。 「出口さんの知識量や技術が100とすれば、今の私はまだ0.1。1年以内には1か2に増やしたい」。試飲を繰り返すうちに、赤ワインも飲める量が増えてきたという。ワインで有名なフランスなど、産地をめぐる旅にも興味がわいてきたとも。若きソムリエの“熟成”は始まったばかりだ。 ◆ソムリエとは ワインを中心とする飲料のサービスを専門的に携わる人の職業をいう。酒類や飲料、食全般の専門的知識、品質管理、サービス方法、選択について、知識や技術などが必要。日本ソムリエ協会の試験に合格すると「ソムリエ」に認定される。アルコール提供の飲食業などの職務経験3年以上で20歳以上の4961人が挑んだ本年度の試験合格率は3~4割。本年度の21歳以下の合格者の割合は0.004%。 (斉藤理/MOTIVA)