「性的欲求を満たすため」7人の女児へ“わいせつ行為”元保育士が犯行動機語る 家族、お金、仕事、すべてを失った被告人の“言い分”
「それについては答えたくない」唯一答えを拒んだ質問
次いで、検察官から被告人への質問が行われた。以下、その応答だ。 ――保育士になったのは保育園を継ぐためというが、本当は保育士以外にやりたい仕事があったのか。 小さいころはあったが、本気で考えたのは保育士だけだった。保育士にやりがいも感じていた。 ――警察の調べによれば、高校2年生の頃から未就学児~高校入学前の子どもが映った児童ポルノを収集していたというが、自らの性的欲求を満たすために犯行を行ったのか。 はい。 ――捜査段階の取り調べにおいて、犯行は性的目的ではなく、自らも近親者から性的虐待を受けていたためだと言ったのは覚えているか。 それについては答えたくない。 ――本当のことを話すべきでは? 申し訳ない。 ――なぜ捜査段階でこのような話をしたのか。 同情されると思った。 ――嘘だったのか。 話をすれば同情されると思った。 ――家族と縁が切れているのはなぜだと思うか。 とんでもない事件を起こしてしまったから。 ――拘置所に面会に来た人はいたか。 元妻、元妻の親戚、(被告人の)父。 ――縁を切ると言われたのは誰か。 元妻側の親戚と父。 ――反省文で、個々の被害者に謝罪していないのはなぜか。 どの被害者に対しても同じように、申し訳ない気持ちは共通である。個々の方に対する文も書いてみたが、自分の文章力では同じ言葉の繰り返しになってしまい、書けなかった。 ――弁償金を友人に借りることは考えなかったか。 友人を頼る考えはなかった。お金を工面してもらえるような友人はいない。
犯行を続けながら保育士「不適切だと思っていた」
――被害者は7人ですべてか。 はい。 ――児童の自慰行為を見たのが加害行為のきっかけだと言ったが、保育士として子どもがそのような行動をとることがあるという知識は持っていたのでは。 知識としては知っていたが、実際に見たことはなかった。 ――なぜそれが加害行為に結びついたか。 児童ポルノは3次元で世界のどこかで実際に行われているとは思っていたが、どこか遠い世界だった。目の前で起きたことは、私にとって衝撃的なことだった。 ――犯行を続けながら保育士をする自分をどう思っていたか。 率直に不適切であると思っていた。 ――なぜ保育士を辞めなかったのか。 保育園を継ぐというプレッシャーを感じていた。父の経営する保育園に移り、いよいよ世代交代の秒読み段階に入っていることを重く感じていた。それと、自分を止められない怖さ、誰かに言うこともできず相談できる病院もわからず、どうしようもなかった。 ――加害行為を止めるために何をしたか。 形として行動に移したことはなく、心と体の中で自制をかけることだけだったが、かけられなかった。