<2020センバツ・頂点つかめ!>第1部・チームの軌跡 桐生第一/上 「個々の役割」を徹底 結果につながり自信 /群馬
<頂点(てっぺん)つかめ!> 1999年に夏を制覇した桐生第一。春夏計14回の出場を誇る群馬の雄が4年ぶりに聖地・甲子園へ戻ってくる。平らかではなかったセンバツ切符獲得への道のりを振り返る。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 新チームは、中軸を担う主将の広瀬智也選手(2年)など2年生6人が昨夏のベンチ入りを経験した。個々の潜在力は高かったが、滑り出しは順調ではなかった。「一人一人が別のことを考えていて、自分勝手な選手が多かった。初めは監督に言われたこともできなかった」と広瀬選手。チーム発足後すぐの練習試合では敗戦。秋の県大会初戦でも中盤までに大量得点を奪いながら、後半に追い上げを許すなど満足な試合内容を残せなかった。 負けたら終わりのトーナメント戦に臨む選手たちに今泉壮介監督が求めたのが「個々の役割」の徹底だ。長打やバント、走塁、投球など各選手が持ち味とするプレーを試合中にしっかり発揮できるかが結果に結びつくと説いた。 歯車は徐々にかみ合っていく。県大会3回戦で対戦した安中総合の投手は中学日本代表経験もある県内屈指の好右腕。打線の出来が勝敗の鍵を握る中、センター方向への意識を徹底し初回から4得点。2本塁打を含む9安打で計8得点を奪い、コールド勝ちした。広瀬選手とともに主将を務める福士信晃選手(2年)が「役割を果たせば、結果が出るとわかった」と話すように選手たちの自信は深まっていった。 以降も打線の集中力が光り、準決勝までコールド勝ちを重ねた。迎えた決勝でも主戦・宮下宝投手(2年)の粘投でライバルの前橋育英に勝利。「自分たちの代で育英を倒せた」。13年ぶりの秋季県王者として関東大会でも勢いは止まらなかった。【妹尾直道】