くら寿司の「ゴールデンクランチ巻」とGUの「樽パンツ」から学べること
日本では考えにくい人気メニュー
成長の裏には、顧客のニーズに合わせたメニュー開発がある。その象徴が、アメリカでメジャーだった巻寿司の「クランチロール」をベースに、アメリカ人向けに開発したオリジナルの「ゴールデンクランチロール」だ。これは、エビマヨときゅうりを入れて、海苔を内側に巻き、ヤンニョンジャン等をベースに使用した特製スパイシーソースと甘だれをかけて、パン粉をトッピングしたメニュー。食べてみたが、日本でもレギュラー展開したらいいのにと思うほど美味しかった。 また、魚の生食に抵抗があるアメリカ人向けに「炙り」メニューを押し出した。結果、当地の人気メニューNo.1とNo.2には「炙りカルビ」と「炙りサーモンマヨネーズ」がランクインしている。 15年の歴史があるくら寿司のアメリカ展開をみれば、海外進出は日本国内でのビジネスよりも、長期的視点で考える必要があることがわかるだろう。
ユニクロは19年、GUは欧米初
私がニューヨークを訪れる1週間前の9月19日、GUの欧米初の常設店がソーホーにオープンした。 ファッションやアートの発信地として知られるソーホーは、カフェや高級ブティックが立ち並ぶエリアであるとともに、Forever21、ZARA、そしてユニクロなど大手ファストファッションも出店しているエリアである。各社は、特にトレンドを意識した商品を展開しており、ソーホーでの成功は全世界戦略の道筋をつける試金石となるのだ。 GUと同じグループのユニクロも、アメリカ初出店から19年が経つ。ニュージャージーに3店舗を出店後、売上不振でわずか2年で閉店するなど紆余曲折がありながらも、現在ではアメリカ国内に63店舗を展開するまでになった(9月30日時点)。 GUは、昨年、グローバル本部をニューヨークに設置しており、世界戦略の足掛かりとする本気度を感じさせる。その姿勢は店舗にあらわれていた。今回オープンしたソーホーの店舗では、女性のマネキンにメンズのパンツやシャツを着せるなど、性別にこだわらないジェンダーレスな装いの売り場を提案していた。また、日本の店舗とほぼ同じ商品を販売しているものの、一部製品の着丈を現地の体型に変更するなど、ローカライズさせている。