「フェロモン」「ロケット」「為替相場」……未来の社会を変える大学の面白いゼミ15選
4.関西学院大学:女王アリの「フェロモン」を研究
アリは、陸上の生態系で最も繁栄しているグループの一つだといわれています。その成功の理由は、お互いが協力し、役割分担をしていることだと考えられています。関西学院大学生命環境学部の北條賢教授の研究室では、アリ社会の協力関係がどのように生まれているのか、どのように進化してきたのかを研究しています。 そのなかで大学院理工学研究科1年の宮本萌さんが取り組んでいるのが、「クロオオアリにおける女王フェロモンを介した繁殖分業メカニズムの解明」というテーマです。 アリ社会は、個体を生産する女王と、エサを取ってきたり幼虫を世話したりするワーカー(働きアリ)に階級が分かれています。ワーカーも卵巣を持っているので卵を産むことができますが、女王がいると産卵が抑えられ、産むのは主に女王の役割になります。つまり、アリ社会では繁殖が分業化され、役割分担が行われているのです。では、なぜ女王がいるとワーカーの産卵が抑制されるのでしょうか。
5.東京都立大学:「トンネル研究」…なにを学ぶ?
日本は世界有数のトンネル大国です。トンネルは人や車だけでなく、水や電力なども運ぶための重要なインフラ構造物です。東京都立大学都市環境学部都市基盤環境学科の砂金(いさご)伸治教授は、安全防災分野のトンネル工学が専門です。 大学院都市環境科学研究科博士前期課程1年の山田芽生(めぐみ)さんは、砂金教授のもとで、山岳トンネルについての研究を進めている一人です。 「大学受験を考えていたとき、家にあった父の土木学会誌をふと読んでみたら、土木業界は『人生より長く続くもののために、人生を費やすような仕事』というようなことが書いてありました。その言葉に感銘を受けて、私も土木を学ぼうと東京都立大学に進みました」
6.学習院大学:為替相場を分析する
為替相場を理解することは、先行き不透明な世界情勢を知るための重要な知識といえるでしょう。学習院大学経済学部の清水順子教授のゼミでは、フィールドワークやグループ学習を通じて、金融と経済の基礎知識を身につけていきます。 清水教授は、国内外の金融機関を渡り歩いたのちに大学院に進み、アカデミックな研究を続けています。自身の体験から、理論だけでなく実務の世界でも生かせる学問として、国際金融を学んでほしいと考えており、本を読んでまとめて終わりではなく、アンケートやインタビューで現場の声を集めるフィールドワークを重視しています。