ワインディングも楽しめる今どきハーレーの楽しみ方。最新「ストリートグライド/ローライダーS」の魅力
■アメリカンスポーツの王道 その由緒あるローライダーをベースに、さらに走りの性能とスタイルに磨きをかけた上級版として登場したのが「ローライダーS」である。2020年には新型ソフテイル版として復活。アメリカ西海岸のカスタムシーンで流行りのクラブスタイルに触発された筋肉質でスタイリッシュなデザインを纏い、倒立フォークやドラッグバーを採用するなどパフォーマンスを強調したモデルへと進化。2022年モデルではハーレー史上最大排気量を誇る1923ccの「ミルウォーキーエイト117エンジン」が与えられ、リアショックの延長によりストローク量と地上高が確保されたことでコーナリング性能もさらに向上している。なお、価格は294万5800 円(税込)となっている。
■力でねじ伏せる! これぞアメリカ流スポーツバイク そのスタイルはまさに「これぞハーレー」といえる完成度で、巨大なVツインエンジンが放つ圧倒的な存在感に目を奪われる。重厚なエンジンの回転フィールとワイルドな排気音はハーレーならでは。アクセルを開ければ2L近いエンジンが吐き出す圧倒的なトルクで路面を引き裂くような加速が楽しめる。細かいことは気にせず力業で解決する、まさにアメリカン・マッスルカー的な世界観がそこにはある。それでいて新型ソフテイル系のエンジンはデュアルカウンターバランサーを内蔵し、振動を抑えつつソリッドな鼓動感を楽しめる仕組みになっている。だから長時間のライディングでも快適だ。
■驚きのコーナリング性能 2022年モデルでは車高がアップし重心が高めになったことで、倒し込みがより豪快で楽しいものに。長くなったリアサスペンションのストロークを活かしつつ、従来のハーレーでは考えられない深いバンク角を保ちつつ正確にコーナーを切り取っていく。ハーレーの中でも巨大なツアラーモデルと比べると明らかにコンパクトでハンドリングも軽快。それでいて、大径19インチのフロントタイヤと小径16インチのワイドリアタイヤが織りなす安定感と曲がりやすさのバランスが絶妙で、しばらくワインディングを走っていると普通のスポーツバイクに乗っている感覚でペースアップしている自分に気づく。
加えて原付バイク並みに低いシート高(710mm)のおかげで足着きのよさも抜群。車重は308kgとけっして軽くはないが、しっかり両足で支えられるため立ちゴケのリスクも低減されるわけだ。また、ブレーキは強力かつコントローラブルで特にフロントのダブルディスクはスポーツモデルに匹敵する制動パワーを発揮。 さらに最新の電子デバイス「RDRS」によりコーナリング中でもABSやトラコンが限界時の車体姿勢を自動的に制御してくれるなど、安心してスポーツ走行を楽しめる。ハーレーの伝統的なスタイルと現代的な走りの性能を兼ね備えたローライダーSは新世代のスポーツクルーザーだ。
佐川健太郎 :モーターサイクルジャーナリスト