ワインディングも楽しめる今どきハーレーの楽しみ方。最新「ストリートグライド/ローライダーS」の魅力
1923ccの「ミルウォーキーエイト117」エンジンは、空冷Vツインらしいワイルドで迫力ある排気音と脈動するトルクが力強く味わい深い。それでいてバランサー内蔵で回転も極めてスムーズ。どっしりとしていて乗り心地は柔らかく、平らな路面を滑っていくような走りが気持ちいい。ちなみにハーレーのモデル名によく登場する「グライド」とは滑空するという意味だが、まさにその感覚。ズ・ドッ・ドッ・ドッと間隔の長いビートと低振動のエンジンは快適そのもの。排気量2Lに迫るエンジンの分厚いトルクに乗って高速道路を悠々と流していくグライド感はハーレーでしか味わえないものだ。
■ワインディングでも素直な乗り味 ワインディングでも走りのよさが光っていた。コーナリングは速度域やコーナー曲率にかかわらずクセがなく素直で、タイトに曲がり込む低速域でもハンドルの切れ込みや倒し込みでの立ちの強さも感じない。さすがに軽快とは言えないが、狙ったラインに正確に乗せていく重厚な乗り味はクセになる気持ちよさだ。この巨体にして街乗りから高速移動までオールマイティ。アメリカの白バイにも昔から同タイプが多いのも頷ける。
コックピットも一新され、新しくなった大型ワイドのフルカラーTFTディスプレイの美しい画面や、高性能スピーカーから流れるクリアなサウンドを聞きながら街を流すだけで贅沢な気分になれる。また、これらを使いこなすためのスイッチ類のデザインも現代的で操作もしやすかった。ハーレーの中でも大きく立派なツーリングファミリーはついつい見た目の雰囲気に圧倒されがちだが、乗ってみるととても素直で扱いやすい。ストリートグライドはその代表格と言っていいだろう。
一方のローライダーSは、ハーレー伝統のロー&ロングな車体とスタイリッシュな造形が特徴の“走り”のモデルである。 ローライダーの歴史は1977年にさかのぼる。創業一族のウィリー・G・ダビッドソンが設計した初代ローライダーは、走行性能を重視したシャーシに当時のビッグツインエンジンを搭載、70年代のチョッパーを思わせるアウトロー的な雰囲気も手伝って大ヒット。 ちなみにチョッパーとは、かの有名なハーレー乗りのバイブル的映画「イージー・ライダー」に出てくるような“そぎ落とし系”のカスタムのこと。その意味でノスタルジックな感情を呼び起こすモデルでもあった。今日にいたるロングセラーモデルとなったローライダーに転機が訪れたのが2017年。現代的なフレーム構造を持った「ソフテイルファミリー」に統合された新世代マシンとして一大リニューアルを敢行。エンジンには新設計の「ミルウォーキーエイト」が採用され、空冷・OHVという伝統的な機構を守りつつも性能を大幅に向上した。