メジャー驚愕の柳田サヨナラ逆転弾を演出した稲葉監督「苦渋の選択」
侍ジャパンとMLBオールスターチームが激突する「2018日米野球」が9日、東京ドームで開幕、日本は4-6で迎えた9回に代打・會澤翼(広島)のタイムリーで1点差に迫り、柳田悠岐(ソフトバンク)のバックスクリーンに飛び込む逆転サヨナラ2ランで劇的な開幕勝利を飾った。メジャー真っ青の特大弾もさることながら、特筆すべきは、サヨナラ劇につなげた稲葉采配。勝ちに徹すると宣言した稲葉監督は。非情と綿密計算を積み重ねた日本らしい野球で、まだ目の覚めないメジャー軍団に一泡吹かせた。
メジャー監督は柳田のパワーに脱帽
満場の東京ドーム。 ファンの誰一人帰らない。 お立ち台にギータが走ってきた。 「最高です!」と叫び「ミラクル!」と続けると、さらに歓声がヒートアップした。 1点差に迫った9回二死一塁から高々と打ち上げた。途中からセンターを守るピラーは背走。フェンスに手をつけて見送った。バックスクリーンに飛び込む、その一打は、フライボール革命と呼ばれ、打球を打ち上げることが主流のメジャーの飛距離や角度にもなんら引けを取らなかった。 パドレスのチームアドバイザーである野茂英雄氏からフォークを直伝されたギルビー・イエーツは、膝に手をやった。そのフォークが初球に抜けていた。代走の源田壮亮(西武)が、バッテリーを揺さぶったため、全米屈指の捕手モリーナも続けてフォークを要求しにくくもなっていた。いやおうなしに選んだ146キロの高めのファストボールだった。 「来た球。当たる球をしっかり当てる。その中で自分のスイングをしようと。シンプルイズベスト!」 日本シリーズでは、広島バッテリーにあれこれと考えさせられ序盤は封じられたが、第5戦でバットを折りながらのサヨナラアーチで日本一に王手をかけた。どこかふっきれたギータのスタイルは、メジャーの空気に合っていた。 MLBの豪華打線が3本塁打の競演を演じたが、「かっこいい! ファンとして一ファンがセンターを守っていました」と刺激を受けていた。 MLBオールスターを率いるマッティングリー監督は、試合後、沈痛な顔をしていた。 「あの一発を打たれるまではプラン通りに進んでいたのだが、こういう形で終わるのは厳しい。(柳田に)パワーがあることは分かっていたが最後にやられてしまった。できるだけ相手の力を最小限にとどめることを考えたが、初めての対戦ですべてを抑えることは難しかった」 5回には、4-4の同点にされ、なお二死二塁の場面で柳田を敬遠した。 「詳しいデータがないから成績で判断するしかなかった。右対左より右対右を選んだ」 結果的に続く岡本和真(巨人)を三振に打ち取り、マッティングリー監督の細心の采配は成功したように見えていたが、最後の最後、“ゴジラも脱帽”のパワーに破壊された。 サヨナラ劇は綿密な稲葉采配の上に成り立っていた。