県岐阜商復活の春便り 5年ぶり出場、Vへ決意 /岐阜
<センバツ高校野球> 古豪の復活を告げる春の便りが届いた。第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会が開かれた24日、県岐阜商(岐阜市則武)が5年ぶり29回目の出場を勝ち取った。全員が初の甲子園となる選手たちは、「甲子園は憧れの場所だが、目指すのは優勝です」と頂点への決意を新たにした。開幕は3月19日、組み合わせ抽選会は同13日に開かれる。【横田伸治、沼田亮】 午後3時20分ごろ、報道陣が詰めかけた校長室で、待ち望んだ電話が鳴った。古田憲司校長は「はい。ありがたくお受けいたします」と答えた後、待機していた瀬川隆彦・同窓会名誉顧問や太田郁夫・硬式野球部OB委員長らに吉報を告げ、握手した。 古田校長はすぐに、選手や鍛治舎巧監督らが待つグラウンドに移動。「出場決定おめでとう。皆さんにはここからがスタートラインになるので、改めて精進し、進化し続けてほしいと思います」と激励した。鍛治舎監督は「5年ぶりのセンバツは、そんなに簡単じゃなかった。よく頑張ったと思う。頂点のために勝ち上がっていこう。頑張ろう、いいね?」と問いかけると、選手らは「はい!」と声を張り上げた。 佐々木泰主将(2年)は「今のチームは、どんな好投手にも対応できる打線と、140キロを投げられる投手陣の両方が売り。昨秋からセンバツ優勝に向けて練習してきたので、自信を持って戦えるはず」と話した。喜んだのもつかの間、選手らは早速、練習に打ち込んだ。 ◇号外手に感激 ○…県岐阜商のセンバツ出場が決まると、同校グラウンドでは「県岐阜商に春切符」との大見出しが躍った毎日新聞の号外が配られた。出場までの歩みや選手の激闘の風景などが掲載され、祝福に駆けつけた学校関係者らが見入っていた。後藤央典選手(2年)の母、純佳さん(53)は「(号外が)もらえるなんて思っていなかったので、『いよいよだな』とすごくうれしい。センバツでは悔いなく、暴れてきてほしい」と感激した様子だった。 ◇鍛治舎監督就任で躍進 1904年、岐阜市立岐阜商業学校として開校。戦後、48年に同市立女子商業高と統合。51年に現校名。「どんな困難に出合ってもひるまず、くじけず最後までやり遂げる」を意味する「不撓不屈(ふとうふくつ)」を校訓に掲げる。 野球部は1925年創部。甲子園では春夏合計優勝4回、準優勝6回、通算勝利数では全国4位となる87勝の記録を持つ。2018年に鍛治舎巧監督が就任。昨秋は地区予選で他校を圧倒して勝ち進むと、県大会でも劇的な逆転勝ちを続け優勝。東海大会で愛工大名電(愛知)、加藤学園(静岡)を破り準優勝した。現在の部員は50人。主な卒業生には、1月17日に亡くなったプロ野球・中日の高木守道さん、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんら。