電話対応終了まであと2分 ギリギリで保護した瀕死の猫 「手術中に亡くなるリスクがあります」獣医師の言葉に覚悟
群馬県動物愛護センターに、瀕死状態の猫が収容されました。 体のあちこちにけががあり、さらには小腸が体外に露出。なんらかの感染症を起こしている可能性がありました。また、眼振が出て脳にも障がいが起きている可能性もあり、いつ亡くなってもおかしくない状況でした。 【写真】手術は無事成功。よかった! ヒマラヤンとスコティッシュのミックス猫なので、元々はほぼ飼い猫だったのでしょう。飼い主の無責任さを思うと、強い怒りと憤りを覚えます。
生きる見込みがなくても見過ごすことができなかった
センターを訪れ、この猫の存在を知った個人の保護ボランティアさんは、懇意の保護団体、Delacroix Dog Ranchの代表に相談。代表は保護を決意しましたが、このときすでにセンターの電話対応が終わる約2分前。ギリギリのところで職員に引き取りを申し出て、急いでセンターへと向かいました。 対面した猫は、聞いていた通りの瀕死の状態。センターの職員は「亡くなるだろう」と言い、代表も同じように感じました。 「そう長くは生きられない命を救うのなら、まだ先が長い犬猫を優先して救うべき」という考え方もあるでしょう。しかし、目の前で、今にも息を引き取りそうな猫をそのまま見過ごすことが代表にはどうしてもできませんでした。そして、センターから猫を引き出したその足で動物病院へと連れて行きました。
「治療できことは限られ、相当なお金もかかります」
猫の状態を見た若い獣医師は、代表が治療に連れてきた意図が、全く理解できない様子でした。代表の真意を知り、慎重に言葉を選びながら、遠回しに「亡くなる猫に治療できることは限られるし、相当なお金もかかりますよ?」といったニュアンスでした。 代表はきっぱりと言いました。 「お金がかかったとしても、最後の望みをかけて生かして上げるための挑戦をしたいです。なんとか治療をお願いします。
医療処置に伴ういくつものリスク
獣医師は、瀕死の猫を前に、医療処置を施すリスクを代表に説明しました。 「麻酔のリスクが高く、手術中に亡くなる可能性があること」 「眼振の原因が脳内出血などの場合、獣医療での脳外科手術には限界があること」 「体外に露出した小腸は壊死しており、生きている小腸を繋げても消化機能が低下する可能性があること」 「骨折した骨盤を繋げても、排泄障がいが残る可能性があること」 代表はそこでも考えを変えず、まずは小腸の手術を最優先に実施してもらうことにしました。 そして、ここで猫の名前をつけてあげることにしました。名前は「ミラクル」。奇跡を起こしてくれることを期待しました。