補聴器は高過ぎる!? 動き始めた〝公的助成〟の現在地 全国から注目される「港区モデル」とは?~改善可能な因子・難聴⑤
23区の助成状況
東京都の中でもさらに23区に目を向けてみると、令和5年度に補聴器に対する助成を行っていたのは19。 残りの4区(台東区、世田谷区、中野区、北区)でも、今年令和6年度には助成をスタートすることになっている(一部スタート済で、中野区は8月~、台東区は11月~スタート予定)。 ちなみに、最初に紹介した「全国の助成状況」も同じように変わってきていて、各自治体のホームページを確認すると、今年令和6年度から新しく助成をスタートしていたり、元々あった「75歳まで」などの年齢上限を撤廃していたり、「非課税である」などの条件を緩和していたりする自治体が数多く出てくる。改めて、補聴器に対する公的支援が広がり始めていることを感じる。
注目される「港区モデル」
その中で、全国からの注目を集めているのが「港区モデル」である。 港区モデルとは、港区が令和4年度に区独自の取り組みとして始めたもので、補聴器の購入前の相談からアフターケアまでを一連のパッケージとして支援する制度である。上限は13万7000円で、年齢も「60歳以上」と敷居が低めの印象を受ける。 「助成しても“使えない補聴器”をお渡ししては意味がないと考えました。手にしていただいた方々に確実に聞こえを良くしていただくために、港区医師会の理事や有識者の方々とも協議を重ねてご意見をいただいたうえで制度設計しています。具体的には、補聴器相談医が在籍する医療機関を受診し、認定補聴器技能者のいる販売店で補聴器を購入してもらうだけでなく、調整を行う予定日を提出してもらうなど、補聴器トレーニングをしっかり行ってもらうための条件をつけています」(港区高齢者支援課、以下同) スタートした令和4年度の予算は8379万円。当初2272万4000円としていたものが、利用者数が523人となり予算オーバーしたために、6106万6000円を補正した。2年目の去年令和5年度は6594万3000円の予算で、443人が利用した。