補聴器は高過ぎる!? 動き始めた〝公的助成〟の現在地 全国から注目される「港区モデル」とは?~改善可能な因子・難聴⑤
東京都の取り組み
各市町村が補聴器に対する助成(支援)を単独で行うのには、確かに限界があるだろう。 しかし国レベルでの助成は最初に書いた通りで、加齢性難聴の「軽度」「中等度」に対する支援は、今のところ、行われていない。 では、都道府県レベルではどうなっているのか。 東京都の例をあげると、東京都では今年令和6年度から『高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業』を開始した。これは、区市町村が高齢者を対象とした補聴器購入費助成制度を実施する場合に、その費用の1/2を都が補助するものである。 ちなみに去年令和5年度までも、『高齢社会対策区市町村包括補助事業』という別の事業によって費用の1/2の補助を同様に行っていた。が、この事業は「高齢社会対策に係る様々な取り組み」を補助するもので、補聴器購入への助成は「その一部」という位置づけだった。 つまり、補聴器に対する助成は、正に今年度から「独立した事業として」開始されたところなのだ。 「本事業は、加齢性難聴の高齢者のコミュニケーション機会確保を推進し、介護予防につなげるため、加齢性難聴の早期発見・早期対応に係る区市町村の取り組みを支援するもので、予算額は5億8300万円です。補助内容を明確化することで、『より多くの区市町村で取り組みが進むこと』と、『加齢性難聴に係る普及啓発等早期発見・早期対応に係る経費を新たに補助率10分の10で補助して支援を強化すること』を目的として、令和6年度から単独事業としています」(東京都福祉局高齢者施策推進部在宅支援課、以下同) ちなみに去年度まで行われていた『高齢社会対策区市町村包括補助事業』は平成19年度のスタートで、補聴器購入に対する最近の補助実績は、平成30年度が2自治体、令和元年度4自治体、令和2年度7自治体、令和3年度12自治体、令和4年度15自治体、令和5年度23自治体となっている。 なお、『高齢社会対策区市町村包括補助事業』の中で、今年度に別事業としたものは「補聴器事業以外はありません」とのことである。