中地区首位決戦で5スティールを記録、三遠ネオフェニックスの湧川颯斗「ハードなディフェンスが結果に繋がりました」
「ここからもっとステップアップしていきたい」
大野ヘッドコーチも、湧川のディフェンスに対する意識の変化を感じている。「オフェンスは試合に出ていれば点数の取り方、存在感の出し方が分かってきます。ディフェンスは自分で意識しない限り変わっていかないとしっかり伝えました。その中で、彼にディフェンスの気づきがあったと思います。意識を変えないとこのチームでは生きていけない。そのマインドセットができたおかげで今日は良いパフォーマンスだったと思います」 この試合の湧川は、リーグ屈指の強豪であるA東京相手にメンタル面の成長も示した。三遠は12月7日、8日に千葉ジェッツと対戦し、ジョン・ムーニー、 ディー・ジェイ・ホグの中心選手2人を欠いていたとはいえ、難敵相手に同一カード連勝を達成した。だが、湧川は初戦の7日でわずか6分47秒のプレータイムにとどまり、それは富樫勇樹を筆頭とした千葉Jのトップ選手たちに対し、真っ向勝負でぶつかる気持ちの強さを欠いたからだ。 この試合では、日本代表のテーブス海に激しいプレッシャーをかけ続けるなど、1試合を通して闘争心溢れるプレーを見せた。大野ヘッドコーチも「名前負けしてほしくないです。(千葉J戦では)失うものがないのに、自分の持っているものを出しきれていなかったです」と期待ゆえの高い要求を突き付ける。 高卒でプロ転校を果たした湧川は、プロ1年目の昨シーズン、B2に在籍していた滋賀で60試合出場の平均7.2得点、3.2リバウンド、2.9アシストを記録。そして今シーズンは、ここまでB1の優勝候補の三遠で平均12分17秒出場とローテーション入りし、21試合出場、平均4.2得点、2.1リバウンド、0.9アシストを記録。高卒2年目として順調な進化を遂げているが、本人は「シーズンが終わってないのでなんとも言えないですけど、ここからもっとステップアップしていきたいと思っています」と現状に満足することはない。 三遠の日本人選手には、11月のFIBAアジアカップ予選に選出された吉井、佐々木、大浦颯太の『ビッグ3』がいる。そこに次代の代表候補である湧川が、課題にしっかりと向き合って着実に成長している。さらに3&Dとして安定したプレーを見せている津屋一球、197cmのウイングである兪など、三遠の充実ぶりを示した今回の大きな勝利となった。