無罪確定後のDNAや指紋データ抹消 裁判起こした男性に警察庁が説明
無罪確定後のDNAや指紋データ保管「プライバシーの侵害」
メ~テレ(名古屋テレビ)
無罪判決が確定した後も、警察が証拠として集めたDNA型などを保管し続けるのはおかしいと訴えていた名古屋市の男性。 データ抹消を命じた名古屋高裁判決を受けて、25日、警察庁の担当者から対応についての説明を受けました。 代理人弁護士とともに愛知県警察本部に向かうのは、名古屋市の奥田恭正さん(68)です。 奥田さんは2016年、自宅前のマンション建設の反対運動中に工事関係者を突き飛ばした疑いで現行犯逮捕されました。 その後、暴行の罪で起訴されましたが、防犯カメラの鑑定などから2018年に無罪が確定しました。 しかし、奥田さんの闘いは続きます。 警察が捜査の際に採取したDNA型や指紋などのデータを無罪確定後も保管することは「プライバシー権の侵害にあたる」などとして、国にデータの抹消を求める裁判を起こしたのです。
警察庁に「データ抹消方法を明らかに」と要望
名古屋高裁は今年8月、データ抹消を命じた1審判決を支持し、国の控訴を棄却しました。 「(友達から)前科はなくなるけど、前歴は残るよと言われ、 何もしていないんだから前歴もなくしてもらいたいと思ったのが、 この個人情報抹消裁判になった。」(奥田さん) 判決を受けて、警察庁は「奥田さんのDNA型などを抹消した」と説明しましたが、 奥田さん側は実際に抹消されたかどうかを確認する方法などを明らかにするよう要望していました。
警察庁担当者と面会「納得できないがこれ以上は…」
そして、25日に行われた警察庁担当者との面会。両者の話し合いは約2時間にわたりました。 面会を終えた奥田さんは… 「思った通りの成果が得られたかというと納得できるものでなかったが、これ以上は難しいのかなと。弁護士と相談して今後どうするか考えたい」(奥田さん) 面会の中で、警察庁の担当者からは奥田さんのデータを抹消したとする内部の決裁文書が提示されましたが、求めていた客観的な資料の提示はなかったということです。 また、データ抹消のスタンスについては、依然として「個別具体的に判断する」という発言に終始していたといいます。 DNA型などのデータは現在、国家公安委員会の内規で運用されていますが、8月の名古屋高裁の判決は法整備の必要性に言及しています。 「無罪イコール抹消と判決では言ってくれているが、実際そうではない。早いこと立法化にならないと警察や国は動いてくれない」(奥田さん)