わいせつ事件裁判の傍聴席に職員動員!横浜市教委の対応を松尾潔が斬る
東京新聞の取材にジャーナリストの江川紹子さんが「裁判というものは、それ(犯罪)自体を裁くということはもちろん、事件の諸事情や原因をつまびらかにすることで再発防止を考えるための場」と答えていますが、そういう大きな目的もあるわけで、今回のようなことをするとそれが失われます。 もしかしたら、プライバシー保護の観点で、本当に被害者側から要望があったのかもしれません。でも「要望があったから動員をかけよう」とするのが市教委の正しい対応だったのでしょうか? 普通に考えて、検察庁に相談を促すことじゃないのかと思います。繰り返しになりますが、その動員に旅費を支給するのは「どうなっているんだ横浜市は」と思う話です。 ■欧州の小国以上の「ジャンボ都市」 「横浜市は」と言ったのは、何も感情だけで話しているわけではなく、日本を代表する政令市だからです。横浜市は人口が377万人を超えています。これは第2位の大阪市(275万人)を、100万人あまり上回っているという、突出したジャンボ都市です。 ちなみに九州で一番大きな政令市はもちろん福岡市で161万人です。福岡の優に2倍以上の横浜市で起こったこの出来事は、市長の睨みが効いていないということが理由の一つにあると思います。(※人口は2020年国勢調査) 2021年に混迷を極めた横浜市長選がありました。立憲民主党が連れてきて共産党がバックアップしたという図式でよく語られる、横浜市立大学教授の山中竹春さんが市長になったわけですが、その選挙のときも、色々きな臭い動きがあったと噂されています。 『ハマのドン』(2023年公開)というドキュメンタリー映画が作られましたが、それぐらい横浜という、大きくて古い、日本の文明開化が始まった街では、裏利権というものが渦巻いているということでしょうか。 実態は分かりませんが、僕もかつて横浜のラジオ局で何年間かレギュラー番組をやっていましたから、ある程度の横浜の財界の座組というのは分かっているつもりです。ヨーロッパの小国以上と言われているこの市をまとめるというのは大変だろうなとその頃から思っていました。