中国と大阪万博:関西が中国との関係強化を目指す背景
【東方新報】最近、中国で特に積極的にプロモーション活動を展開している日本のプロジェクトといえば、2025年大阪・関西万博をおいて他にない。9月以降、大阪万博の関係者たちは広州市(Guangzhou)、北京市、上海市など中国の主要都市で数多くの展示会やイベントに参加し、11月27日には北京市内でプロモーション活動を行い、日本国内の主要メディアや中国中央電視台(CCTV)にも取り上げられた。 11月27日に行われた北京でのプロモーション活動は、日本の関西財界代表団が11月24日から28日にかけて行った訪中期間中の主要なイベントの一環だった。会場では、万博の象徴的な建築物「木のリング」や各国・地域のパビリオンの建設状況が紹介され、関西地方の人気観光地も宣伝された。関西経済連合会副会長の佐藤基嗣(Mototsugu Sato)氏は、「2025年大阪万博に多くの外国人観光客をお迎えしたい。特に隣国である中国の友人たちの訪問を心待ちにしている」と語った。 また、大阪万博中国館の政府総代表である李慶霜(Li Qingshuang)氏は、「中国政府は大阪万博への参加を非常に重視している。開幕まで5か月を切った現時点で、中国館の準備は大幅に加速しており、中日が協力して大阪万博の成功に貢献できることを期待している」と述べた。 今回の訪中団は、関西財界が2012年以来12年ぶりに組織した大規模な訪中団となった。5日間にわたる訪問期間中、代表団は中国政府高官との交流を図り、経済協力の友好関係を確認すると同時に、大阪万博のさらなるプロモーションを行った。代表団は、中国の何立峰(He Lifeng)副首相や中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の任鴻斌(Ren Hongbin)会長らと会談し、日系企業の中国市場での発展について深く意見を交わした。 大阪商工会議所会頭の鳥井信吾(Shingo Torii)氏は、「非常にタイミングの良い時期に中国側の関係者と接触できた。中国側も最大限の誠意を示してくれた」と述べた。日本経済新聞(Nikkei)の報道によると、中国政府は2025年の大阪万博に代表団を派遣する意向を示唆している。 9月中旬以降、大阪万博の関係者と関西経済界の団体は、中国の主要都市で積極的に活動を展開している。9月13日には広州で開催された国際観光産業博覧会で、大阪万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が日本政府観光局(JNTO)とともに登場し、中国本土で初めての公開となった。続く9月15日には北京の服貿会(サービス貿易博覧会)でプロモーションを行い、多くの市民が集まり話題を呼んだ。 11月には、ミャクミャクが上海で初登場し、中国国際輸入博覧会(輸入博、CIIE)に参加。パナソニック(Panasonic)などの大手日系企業とも連携し、その後も中国国際観光交易会の会場に姿を見せた。 2024年は大阪と上海が友好都市提携50周年を迎え、両都市の交流が一層深まることが期待されている。日本貿易振興機構(JETRO)の担当者は、「上海の人びとは日本観光市場の主要な顧客層であり、2025年には大阪や京都だけでなく、深い観光体験を求める旅行者に向けた新たな観光地も訪れてほしい」と述べている。 なお、大阪万博のキャラクター「脈脈(ミャクミャク)」という名前は、中国ですでに商標登録されていることが判明し、今後は「MYAKU-MYAKU」のローマ字名称を使用する可能性が高い。 大阪万博と関西の経済界が中国との関係を強化する背景には、外国人観光客の誘致という現実的な理由がある。日本は人口減少や消費低迷といった国内問題に直面しており、外国人観光客の需要が経済活性化の重要な鍵となっている。大阪万博の主催者は、外国人観光客350万人の来場を目標としているが、関西経済連合会会長の松本正義(Masayoshi Matsumoto)氏は、「中国人観光客を中心に外国人観光客をさらに呼び込み、目標を400万人に引き上げたい」と語っている。 大阪は古くから中国との経済交流をリードしてきた地域でもある。1971年の国交正常化以前から、大阪商工会議所は中国との交流を進めており、当時の周恩来(Zhou Enlai)首相からも温かく迎えられた歴史がある。2023年には関西地区の対中輸出額が総輸出額の23.8パーセントを占め、全国平均の17.6パーセントを大きく上回った。また、関西国際空港(Kansai International Airport)の国際便の34パーセントが中国本土との便であり、日本国内で最大の割合を誇る。 大阪万博の関係者は、「外国人観光客の半数を中国人にしたい」という目標を掲げている。実現するかは未知数だが、少なくとも中国市場における日本観光への関心は確実に回復しており、2023年1月から10月までに中国本土から日本を訪れた観光客は前年比3倍の583万人を記録している。今後も日中間でさらなる協力関係が築かれることが期待される。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。