「獲れる力はついてきた」有言実行の強き主将・石川祐希が挑む2度目の五輪で目指す場所【パリ五輪】
2度目の五輪は、石川祐希にとって力試しの場所ではない。金メダルを獲りに行く。決戦の場所だ。 【動画】石川祐希、驚異の33得点! 日本の劇的フランス撃破のハイライト 2014年に日本代表へ初選出されてから10年。若きエースと期待を集めた石川は、日本代表や現役大学生ながら単身渡ったイタリアで経験を重ね、2021年には日本代表の主将に就任。ここぞという場面でのサービスエースや、ラリーが続いた最後を決める豪快なスパイク。プレーで見せるだけでなく、その1点をもぎ取った後に見せるガッツポーズでチームを鼓舞し、けん引してきた。 口にする言葉も、年々頼もしさを増し、パリ五輪を迎える前に、集まった多くの報道陣に対して、石川はこう言った。 「パリオリンピックは、金メダルを目指して戦います」 とはいえ、その目標が簡単に叶うものではないことも知っている。日頃から世界のトップとイタリアで渡り合う石川は、技術だけでなく経験も持つ選手たちの凄みも体現している。東京五輪で29年ぶりのベスト8進出を果たし、翌年の世界選手権では東京五輪で金メダルを獲ったフランスにあと一歩で勝利、というところまで迫った。さらに23年にはネーションズリーグで初の銅メダルを獲得し、アジア選手権も制覇。五輪予選の2戦目にエジプトに敗れたところから劇的な形でパリ五輪出場を決めた。 紛れもなく日本は世界も認める強豪国へと成長を遂げたが、それはまだここ数年のこと。石川は言う。 「僕たちは最近強くなってきたチームであって、あくまで挑戦者。世界で勝つこと、オリンピックで勝つことは難しいことで、出場するすべてが強い国ばかりです。でもだからこそ、そこで挑戦したいし、(金メダルが)獲れる力はついてきたチームだと思っています」 有言実行で数々のことを成し遂げて来た強き主将に、日本代表を率いるフィリップ・ブラン監督も全幅の信頼を寄せる。 「いいチームであっても、いいキャプテンを見つけるのは簡単ではありません。さまざまな要素が要求されます。試合の中でのリーダーシップや雰囲気づくり、チームをどの方向に導いていくか。石川とは日頃から非常に多くの話をして、コミュニケーションを重ねてきました。私がチームの方向性を決めるうえでも、どうすればチームに浸透するか。彼に尋ねてきました」 たとえばメンバー発表。パリ五輪出場の12名を発表する時、当初は個別に伝えようとしていたブランに「全員の前で発表したほうがいい」と進言したのも石川だ。 「ずっと一緒にやってきたメンバーで、誰かが外れて、誰かが選ばれる。その時が来るのは全員わかっていました。だからこそみんなの前で発表すべきだと思っていたし、そのほうが気持ちが入る。一緒にやってきたメンバーのためにも頑張らないと、と思えるし、ずっと過ごしてきたメンバーのために戦えるチームであってほしいと、言葉じゃなく心で思ったのでみんなの前で発表したほうが気持ちが入る、と思ってブランに伝えました」 主要国際大会では14名がベンチ入りできるが、五輪は12名のみ。だからこそ、ここまで共に同じ場を目指し、共に戦って来た仲間のために。決意新たに臨む、2度目の五輪。石川はどんな姿を見せるのか。間違いなく言えるのは、日本中が誇れる、強く、逞しい主将の姿である、ということだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]