なぜ教師は「魅力的な職業」ではなくなったのか、公教育の危機に必要な優秀な人材確保のための3条件 「多忙・授業以外の負担大・残業代なし」への対処
中教審や文科省の姿勢や案にも踏み込み不足はある
もちろん、中教審の案で、不十分なところやもっと強く推進するべき点もあると思う。例えば、現在は5・6年生の小学校の教科担任制を3・4年生まで拡大することを述べているが、 ・そうした加配(追加の教員配置)を受けられるのは、一部の小学校にとどまるのではないか。 ・仮に別の加配(少人数指導など)が減らされると、教員の負担軽減効果も相殺されるのではないか。 ・その程度の教員定数改善で抜本的な改善になるだろうか。休憩もとれないほど、授業がつまっている状況を変えるには、もっと思い切った施策が必要ではないか。 などの疑問が尽きない。また、調整額の10%以上増という方策が、そもそも財務省は反対しているため実現するかどうかという疑問もあるし、実現したとしても、大学生らにとって魅力的かどうか、あるいはシニア世代が定年延長や再任用などを受けてくれるうえでもプラスに働くかどうかなどを注視していく必要がある。 今回は、中教審の審議のまとめについて、かなりざっくりではあるが、趣旨と骨子を解説した。少しでも参考になればうれしいが、よいところや不十分なところ、もっとこうしたほうがよいというアイデアなどがあれば、私あてに、もしくは文科省でも意見を募集している。 (注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)
執筆:教育研究家 妹尾昌俊・東洋経済education × ICT編集部