戦列を離れる〝真面目な努力家〟ブラックジジが復帰する日を心待ちに/新人記者のトレセン日記
【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 新馬取材の後にデビュー戦を見届けることがひとつの楽しみなのですが、初勝利を挙げる日はさらに楽しみなのです。10月26日の2歳未勝利(新潟ダート1800メートル)でエスポワールシチー産駒のブラックジジ(牡・菊川)が3戦目にして勝利をつかみました。 勝利を振り返り「強かったね」と菊川調教師。続けて「前に取材に来たときに〝真面目で努力家〟だと話したと思うけど、そういう面が見えた」とジジの強みが生きたレースだったようです。デビューから3戦、コツコツ詰め上げてきた努力が実り、早い時期に勝利をつかんで帰ってきてくれました。 当時の状態は、以前取材したときと「大きく変わらなかった」と言いますが「一番(の勝因)はダート替わりでしょう」とのこと。ジジはダート向きなのですね。「距離もこれくらい。今後も中距離路線で頑張ってくれそうな勝ち方だったね」とさらなる成長がとても楽しみになる答えが返ってきました。 しかし、真面目がゆえに頑張りすぎてしまったジジ。骨折してしまったのです。「最初(レース後)は右ヒザだったんだけど、帰ってから左も痛み出したんだよ。剥離してしまっていたので、両ヒザの手術をした」と。菊川師から「診療所にいるからお見舞いに行ってあげて」と声をかけていただいたので、手術後のジジに会いに行きました。 一緒に診療所まで向かってくださった菊川師は、ジジの心配をする私に「骨折したことはある?」と聞いてくれました。その経験がない私に「(自分は)いろんなところを骨折してるからね(笑い)。骨折と分かるくらいすごい痛み」。元ジョッキーだった菊川師の言葉から、骨折のつらさが伝わってきます。 馬房に行くと、ジジは鳴いて近づいてきてくれました。両ヒザと首に包帯を巻いて、痛々しい見た目をしていましたが、顔つきはしっかりしていて元気な様子。「半年の休養に入るけど、6か月後には使えるくらいに調整していく」とのことで、来春にはレースに復帰できるそうです。 今回ケガをしてしまったのは残念ですが、軽症で復帰のメドも立っているということなので、安心しました。また元気に走っている姿が見られる日を、楽しみに待ちたいと思います。
栗栖 歩乃花