全日本2連覇、青学大野球部の安藤寧則監督が語るチーム作りの信念「徹底の裏側には納得がある」
【選手たちとのコミュニケーションの悩み】 青学大を1部に引き上げ、常勝チームに育て上げた安藤監督の下でプレーを希望する選手はあとを絶たなそうだが......。安藤監督は、自チームに選手を迎え入れる際の明確な基準を設けているという。 「もちろんチームの中心を担ってくれそうな選手であることも大切ですが、それと同じくらい重視しているのは『自主性があり、指示待ちをしないかどうか』なんです。あとは、周囲から声をかけられる様子、率先して荷物を運んでいる、といった野球に取り組む姿勢を見極めながら、実際に獲得する選手を決めています」 その安藤監督が「(スカウトで訪れた際に)県立岐阜商業1年生の頃に惚れ込んだ」というキャプテンの佐々木など、現在4年生の選手たちは、コロナ禍の影響で高校3年時の夏の大会が中止になった。その後、入学したあとも対面でのコミュニケーションの機会が限られ、信頼関係を築くまでにさまざまな苦労が伴ったようだ。 「本当にいいヤツらですが、大勢の人と一緒に過ごした日々が少なかったせいか、僕の思いが伝わりにくい部分があり、対話に時間がかかったことはあったように思います。お互いに真剣に向き合って、時折腹が立つことありましたけど、それでも冷静に受け止めることを意識してきた。手がかかった世代だからこそ、優勝を手にできたことが本当にうれしいです」 選手たちとの関係性を築くことに悩んだ過去を明かした安藤監督は、いまだパワハラの問題が報じられ、指導の際に若い世代とのコミュニケーションに苦労することが多いスポーツ界の現状について、次のように持論を展開した。 「もし選手が著しく成長してくれるのなら、暴力に頼ってしまうこともあるかもしれません。でも、彼らは話せばきちんとわかってくれますし、もし僕が彼らに手を出すようなことがあろうものなら、おそらく拳を使わないと思いを伝えられない自分の未熟さを情けなく感じてしまうと思うんです。 結局は、ひとりひとりと真摯に向き合っていくことでしか選手の力を伸ばすことはできない。日々、自問自答しながら、彼らと向き合ってきたからこそ今があると思います」