『FFXIV』オフィシャルバンドが振り返るここまでの歩みと周年ライブへの意気込み「THE PRIMALSのライブは相当特別です」【インタビュー】
オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)のオフィシャルバンド、THE PRIMALS(ザ・プライマルズ)が結成10周年を迎えた。10周年イヤーとなる2024年は、アルバム『THE PRIMALS – Riding Home』のリリースや、念願だったフェスへの参加など、さまざまな活動を展開している。 【画像】THE PRIMALSの撮り下ろしアザーカット そんな10周年を迎えた心境についてメンバーの祖堅正慶、イワイエイキチ、たちばなテツヤ、GUNN(※)にインタビュー。10周年の活動を振り返ってもらいつつ、9月21日(土)、22日(日)に横浜アリーナで開催される「THE PRIMALS Live in Japan – Darkest Before Dawn」への意気込みなどもお聞きしました。 (※)メンバーのマイケル・クリストファー・コージ・フォックスはこの日、インタビューに参加できませんでした。
このバンドはゼロから何かを生むよりもめちゃくちゃ難しい作業をやっている
◆結成10周年を迎えました。大人になってから10年続くことって、実はそう多くない気がします。みなさんは10年バンド活動が続くと思っていましたか? 祖堅:いや、まったく。 たちばな:その年数を目指してやってきた訳でもなかったですし。 GUNN:感じる暇もなく、あっという間に10年経っていたという感じです。やっている僕たちからすれば、10年と言われても「そうなんだねー」くらいの感覚ですね。 たちばな:そもそも『FFXIV』に付随したバンドだから、ゲームが続いていないとバンドも続かない訳で。ゲームがずっと愛されていることに、驚きと『FFXIV』のすごさを実感しています。 祖堅:どんどんとユーザー数が増えていくオンラインRPGって、それほど多くはないと思うので、そう考えると変なゲームですよ(笑)。不思議です。関わっている一人の人間としては、ありがたい限りですね。 イワイ:どこまで続くんだろうね。ワクワクしています。 ◆長く活動をしていくなかで、関係性やそれぞれの印象は変わりましたか? たちばな:あまり変わらないですよ。それぞれ別の仕事もしていますし、付かず離れずという距離感で活動できています。 祖堅:音楽的にはいろいろとチャレンジングなことをしているからどんどん変化しているとは思いますが、関係性は何も変わっていない気がします。僕にとっては変わらず、頼れる兄貴たちですね。ぶん投げときゃ何とかしてくれる人たち。 イワイ:いや、そんなに歳は変わらないでしょ(笑)。 ◆それだけ信頼しているということですよね。 祖堅:もちろんです。 ◆音楽的な方向性の違いで、もめたこともなかったですか? GUNN:なかったですね。 祖堅:振り返ってみれば、これがカッコいい、これはカッコ悪いみたいなことでもめたことないですね。 たちばな:そうね。THE PRIMALSというバンドは、軸としてゲームという素材があって、それをどうやって演奏で調理するのかという作業が主なんです。ゼロから何かを生み出していくということがほとんどないから、もめることがあまりないのかも。 祖堅:でも、このバンドは、ゼロから何かを生むよりもめちゃくちゃ難しい作業をやっていると思います。細い針の穴に糸を通すくらい繊細な職人芸が必要というか。そういうことができるこのメンバーは、やっぱりすごいですよ。 たちばな:今日はやけに褒めるね(笑)。 祖堅:いやいや、それくらい難しいことをやっていただいていると本当に思っています。 ◆10周年イヤーとなる2024年はこれまで以上にいろいろな活動をされているかと思います。6月には、7インチシングル・レコード(ドーナツ盤)の『DAWNTRAIL 7-inch Vinyl Single』がリリースされました。こちらに収録されていた『黄金のレガシー』主題歌について、反響の声は届いていますか? 祖堅:ちらほらと聞いてはいます。ただ、『黄金のレガシー』がスタートしたのは7月頭ですからね。まだ(取材時点では)1か月ちょっとしか経っていないから、何とも言えないというのが正直な感想です。というのも、ゲーム音楽の場合はリリースされた直後の感想だけでなく、いろいろな展開があったうえで、改めて立ち返ったときに主題歌がどうなのかという評価も重要なので。まだ良し悪しの判断はできませんね。 ◆7インチシングル・レコードでの発売というのも面白いと思いました。こちらはみなさんからリクエストされたことでしたか? 祖堅:いえ、バンドメンバーだけではなく、音楽のスタッフとも話し合って決めました。ただ、「やるんだったら本物にしてね」ということはお願いしましたね。そのリクエストに応えてもらい、カッティングを巨匠バーニー・グランドマンにやっていただきました。軽々しくお願いしちゃいましたが、グラミー賞常連のすごい人ですからね。引き受けていただいて、ありがたい限りです。 ◆その後、7月には野外音楽フェス『LuckyFes 2024』にも参戦されました。THE PRIMALSとしては初のフェス参加となりましたが、出演してみていかがでしたか? GUNN:ずっとフェスに出たいと言ってきたので、呼んでいただけてほんとうにうれしかったです。光の戦士(『FFXIV』プレイヤーの愛称)もたくさん応援に来てくれていましたが、恐らくTHE PRIMALSのことを知らないであろう音楽ファンたちも僕たちの演奏を聞いてくれていて、気持ちよかったですね。 ◆『FFXIV』やTHE PRIMALSのことを知らない人の前で演奏するというのも、今までにはあまりない経験だったのでは? GUNN:そうですね。新参者ですが、ひとつよろしくお願いしますという気持ちで臨んでいましたし、セットリストもどういう曲が刺さるのかなとすごく考えました。 ◆恒例となっている「家ーー!」のコール&レスポンスは、さすがにできなかった……? GUNN:やかましいわ(笑)! 僕の時間をいただけるならやれたと思いますが、出番も単独公演よりは短いので、そんな暇もなかったです。 ◆次回フェスに参加される際は「家ーー!」のコール&レスポンスを期待しています(笑)。祖堅さんはいかがでしたか? 祖堅:対ゲームプレイヤーであれば、それぞれのゲーム体験、そしてゲーム映像と我々の音楽といういろいろな武器を携えて演奏を刺しにいきますが、フェスの場合は音楽だけでの真っ向勝負ですからね。いつもより武器が限定された状態で戦い(演奏)にいきましたが、個人的にはだいぶ戦えていたんじゃないかなという手ごたえはありました。あとは、単純に屋外で大きな音を出して盛り上がれるのは、やっぱり楽しいですね。 ◆ステージに上がった瞬間から祖堅さんはうれしそうな表情を浮かべていらっしゃいました。 祖堅:そうでしたか! 自覚はなかったのですが、きっと東京ドームで開催された『ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京』では、光の戦士たちの表情がステージからの距離が遠すぎてしっかりと見えなかったので、今回のフェスで表情が間近で見えたのがうれしかったんでしょうね。 たちばな:THE PRIMALSがバンド形態でやると聞いたときから、フェスに参加したいと個人的には思っていたので、声をかけていただけたのがうれしかったです。フェスに参加されていた音楽ファンの盛り上がり方を見ていると「THE PRIMALSけっこう通用するじゃん!」と感じたので、今後も何かありましたらぜひ私たちにお声がけください。何でもやりますから(笑)。これからもフェスなどに参加して、ちょっとずつTHE PRIMALSの音楽が広がっていけばいいなと思っています。 イワイ:単純に楽しかったですね。日がまだ高く、映像も出せないなかでの演奏でしたが、フェスの参加者も足を止めて聞いてくれていましたし、手ごたえがありました。THE PRIMALSはまだまだいけるなと思いましたね。だから、いっぱいフェスに出してください(笑)。
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