「秋の単衣(ひとえ)の着物」いつまで着られる?生地やコーデのコツ、羽織りものは?プロが回答
着物のプロ、大久保信子さんに秋にひとえの着物を装う際のポイントを教えていただきました。
帯、 半衿、 帯〆は袷用を
近年はひとえの着用期間が伸びています。フォーマルな場以外なら、気温が下がってくる霜降(10月23日ごろ)を目安にひとえから袷に替えてはいかがでしょう。私的な場ならそれ以降も体感に合わせてひとえを着てもよいのでは。9月のひとえには夏用の小物を合わせますが、10月のひとえには袷用の半衿と帯あげを合わせます。表から見えない長襦袢や肌着は、好みの素材を使って体温調節します。 <画像>秋の衣替え目安 ※表は本州でのひとつの目安です。地域により異なる場合があります。実線部分は基本ライン、点線部分は許容ラインと考えます。
おすすめの着物地
生地は、ある程度の強度があり、透けない生地を使います。ひとえ用に作られた生地のほか、袷用の生地もひとえに使えます。織物なら、張りがあり肌に爽やかな御召、結城縮、本塩沢などが代表的。木綿は通年ひとえで着るので季節の変わり目に便利です。生地により淡い地色のひとえは、濃い色柄の長襦袢を着ると透けてみえる場合があるのでご注意を。季節感は帯や小物合わせで表現するとおしゃれです。 <写真>ひとえにはある程度強度があり、透けない生地を。左上から時計回りに、A 西陣御召、B 結城縮、C 各地の紬、D 紋意匠縮緬。
おすすめの帯地
9月のひとえには夏帯を締めても、10月のひとえには袷の帯を締めます。透け感のない薄手の帯は調和します。近年は盛夏以外使えるスリーシーズン用の帯が作られ、透けないので季節の変わり目や体感に合わせて使うと重宝です。博多織の八寸帯は通年使えます。 <写真>透け感のない薄手の帯(写真左)と博多織の八寸帯(右)。
はおりものの選び方
外出時の塵除けには、紗のような薄物の生地を使ったコートや羽織を。寒く感じるようになったら、袷のコートや羽織に替えます。 <写真>透けるオーガンジーに、千鳥格子の模様をミシン刺繡した生地で仕立てた羽織。軽い着心地で、お出掛けのときに重宝です。羽織、羽織紐、着物/伊と幸 帯/さんび[荒川] 教えていただいたのは… おおくぼ・のぶこ●東京・日本橋の木綿問屋に生まれる。学習院女子短期大学(現・学習院女子大学)を卒業後、テレビ、雑誌などで着物のスタイリングや着付けを手掛ける。伝統文化にも造詣が深く、著書も多数。 監修・解説=大久保信子 撮影=水田 学(NOSTY)[人物] 桂太(フレイム)[静物] 編集=棚町敦子 構成・文=笹川茂実 ※商品のお問い合わせはご遠慮ください。