牛げっぷのメタン削減 飼料添加物を初指定 農水省
農水省は1日、牛のげっぷ由来のメタンガスを削減する化学物質「3―ニトロオキシプロパノール」(3―NOP)を飼料添加物に指定した。温室効果ガスの削減を目的とする飼料添加物の指定は初めて。 3―NOPは、メタンガスの生成過程で働く酵素の機能を阻害し、メタンガスの発生を抑える。同省農業資材審議会飼料分科会や内閣府食品安全委員会などの審議で、家畜への効果・安全性を確認し、消費者の健康にも悪影響がないと判断していた。 欧州連合(EU)をはじめ、国外では既に飼料添加物としての使用が認められている。海外の研究によると、飼料の種類などで差はあるものの、30%程度の削減が期待できる。 同省は、飼料添加物の用途として、①飼料の品質の低下の防止②飼料の栄養成分その他の有効成分の補給③飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進──を定める。2022年1月から、②に「温室効果ガス削減を目的とするもの」を含めており、今回の指定はそれに該当する。 3―NOPと同様、メタンガスの削減効果があるカシューナッツ殻液(CNSL)も現在、指定に向けた手続きが進行中で、26日まで意見公募を行う。 同省は、牛のげっぷに含まれるメタンガスの削減を「J―クレジット制度」の対象に追加する方向で議論を進めている。同制度は、温室効果ガスの削減量を国がクレジットとして認証し、売買できる仕組み。現行では、飼料にバイパスアミノ酸を加えて肉用牛の肥育期間を短縮し、枝肉重量当たりの温室効果ガスを削減する方法は承認されている。
日本農業新聞