コロナ融資、「5割以上返済」が3社に1社。「返済に不安」は1割
新型コロナウイルスの感染拡大により業績が悪化した中小企業を支援するため、2020年に始まった政府系金融機関と民間金融機関によるコロナ関連融資制度。実質無利子・無担保で行われた「ゼロゼロ融資」は2024年4月に最後の返済開始のピークを迎えたが、4~9月の間に制度を利用しながらも倒産に至ったケースが360件発生するなど支援効果が薄らいできている。市場金利の上昇など企業を取り巻く事業環境は大きく変化しているなかで、政府は事業再生や経営改善に政策を転換している。 そこで、帝国データバンクは、新型コロナ関連融資に関する現在の状況や返済見通しなどについて調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2024年8月調査とともに行った。
新型コロナ関連融資、「未返済」は6.6%、「5割以上返済」も3社に1社まで増加
新型コロナ関連融資について、「借りていない」企業は44.9%だった一方、「現在借りている」企業は38.1%となった。「すでに全額返済」した企業は14.3%だった。 新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業のうち、2024年8月時点で返済が『3割未満』の企業は36.7%、「未返済や今後返済開始」の企業は6.6%だった。一方で、融資の『5割以上』を返済していたのは34.3%となった。 2024年2月時点と比較すると、『5割以上』返済している企業は4.8ポイント、『3割~5割未満』は3.5ポイント増加していた。一方で、「未返済や今後返済開始」は3.9ポイント減少しており、新型コロナ関連融資の返済は着実に進んでいることがわかった。 企業からは、 ・「コロナ関連融資の返済期間はもっと伸ばすべきだが、企業はそれに甘えることなく返済計画を立てる必要がある」(一般土木建築工事) ・「コロナ関連融資により、小規模協力会社の財務体力が落ちており、そちらへのフォローが必要」(一般貨物自動車運送) ・「コロナ融資は金利が発生する前に全額繰り上げ返済し、他の融資を含め、借入金は完全にゼロ(無借金経営)になった」(工業用プラスチック製品製造) ・「コロナで減った収入を借り入れで補い事業を存続させることはできたが、コロナが終わっても利益が増える訳ではなく、返済で事業の収支が悪くなる。もっと資本金的な返済猶予を持った制度が必要だったのではないかと思う」(電子応用装置製造) といった意見が聞かれた。