コロナ融資、「5割以上返済」が3社に1社。「返済に不安」は1割
借入企業の12.6%が今後「返済に不安」、「家電・情報機器小売」が急増
新型コロナ関連融資を「現在借りている」企業に対して今後の返済見通しを尋ねたところ、85.5%は「融資条件通り、全額返済できる」と考えていた。 他方、『返済に不安』を抱いている企業は12.6%と1割を超えている。その内訳をみると、「返済が遅れる恐れがある」(4.9%)や「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和を受けないと返済は難しい」(5.7%)、「返済のめどが立たないが、事業は継続できる」(1.3%)、「返済のめどが立たず、事業を継続できなくなる恐れがある」(0.7%)となっている。返済に不安を感じている企業は、2022年8月時点以降、1割台前半での推移が続いている。 業種別にみると、新型コロナ関連融資の返済に不安感を抱く企業の割合が最も高い業種は、「家電・情報機器小売」(41.2%)で、2023年8月時点(15.0%)、2024年2月時点(13.6%)と1割台で推移していたが、情報機器などの売り上げの伸び悩みが影響したことで唯一4割を超えるまでに急増した。 さらに、アパレル販売などを含む「繊維・繊維製品・服飾品小売」(2023年8月時点27.6%→2024年2月時点23.1%→2024年8月時点33.9%)が、3割台へと10.8ポイント増加している。また、「娯楽サービス」(2023年8月時点20.0%→2024年2月時点22.8%→2024年8月時点25.4%)も徐々に増加し、4社に1社の水準となっている。 一方で、新型コロナによる影響を大きく受けた「飲食店」(2023年8月時点32.4%→2024年2月時点25.0%→2024年8月時点14.7%)は、前回より10.3ポイント低下した。また、「旅館・ホテル」は3.6%となり、2023年8月時点(25.0%)、2024年2月時点(22.2%)と低下傾向が続いている。 企業からは、 ・「ユーザー様の景気回復が今後も見通しが悪ければ、同条件での返済には不安を感じる」(家庭用電気機械器具小売) ・「借り換え需要には積極的に対応願いたい」(かばん・袋物小売) ・「年間売り上げの1.5倍以上の借入で、良く借りられたと思う。ただし、返済が始まり、預金高が毎月減ってきている。このままで返済を続けていると、いつ資金が枯渇するか心配である。どこかで返済期限の延長ができないと、事業の継続が難しくなるかもしれない」(映画・ビデオ制作) ・「返済は約定通り可能だが、返済見合いの融資を実行していただけないと運転資金が不足する」(酒場、ビヤホール) などの意見が聞かれた。