南城市嘱託殺人 釈放後に命を絶った元被告 孤立する家族の支援を考えた
南城市嘱託殺人事件のその後
2021年の師走、南城市で起きた殺人事件の「結末」はほとんど知られていない。記者の私も凄絶な最期を聞いた時、思わず言葉を失った。元被告のヨシオさん(67)は、執行猶予付きの有罪判決を受け、釈放後に自ら命を絶った。亡くなるまでに何があったのか。支える手だてはなかったのか。関係者を訪ねた。(八重山支局・矢野悠希)=文中仮名 ■9カ月の勾留 幻覚が見えるように 複数の関係者によると、執行猶予が付いたヨシオさんは判決公判当日の9月6日に釈放、そのまま那覇市内の更生保護施設に入所した。翌日から転入手続きなどを済ませ、療育手帳も作った。釈放後速やかに福祉サービスにつなげられるよう、県地域生活定着支援センターの職員が奔走した。支援を受けながら、仕切り直しの人生を歩み始めるはずだった。 だが、約9カ月の勾留の影響は大きかった。支援に関わった人の話では、ヨシオさんは勾留中寝られない日々が続き、夜中に幻覚が見えるようになった。幻覚症状を周りにうまく伝えることもできていなかったという。 ある夜、窓ガラスの外に人が見えたといい、ガラスをたたき割ってしまった。施設長と面談の上、あえなく退所することになった。
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