首相、なぜ人事“決められない” 安倍派“ウラ金”疑惑めぐり
日テレNEWS NNN
「安倍派の渦中の松野官房長官らは辞任が不可避である」という声が強まっているということですが、人事をすぐにやればという中で、岸田首相はその時期について明言していません。 岸田首相が人事にすぐに踏み切れない理由として、3つの先が「見えない」事があるからと言えます。1つ目は、どこまで人を変えるのかが「見えない」。2つ目は、安倍派の方針が「見えない」。3つ目は、次の候補者が「見えない」という点です。 まず1つ目、どこまで人を変えるか「見えない」というのは、安倍派の松野長官や西村経産相など幹部5人については、辞任が不可避との声が強まっています。 一方で、捜査が本格化するのは13日、国会が閉まったあとと見られる中、ある首相側近議員は「5人の辞任だけでは済まないが、先が見えない」と話しています。 安倍派の中でどこまで広がるのか。さらに他派閥も含めて、どこまで広がるのか。岸田首相も周辺に「先が見えないと決めるに決められない」と話しています。 もし、人事を行っても、また新しい問題が発覚すれば、さらなるピンチを招くだけです。新たな「辞任ドミノ」となれば、政権はさらなる窮地に追い込まれてしまいます。 どこまで変えるか、先が「見えない」ため、「動こうにも動けない」というわけです。 --2つ目の安倍派の方針ということですが、なにが見えないのか、またほかの派閥の動きというのを、別の派閥が変えることは、あまりよろしくない、この点についてはどうなのでしょうか? たしかに岸田首相は岸田派ですから、岸田派のトップが安倍派の話をするのは、非常に難しい面があると思います。 ある政府関係者は、「本来であれば『安倍派が迷惑をかけて申し訳ないと閣僚、党幹部から引きます』と言うべきなのに、『その方針を安倍派の中に決めるトップがいない』と、安倍派のガバナンスの問題点を指摘しています。 安倍派は安倍元首相の死去後、トップを決められず、集団指導体制をとっています。そうした中、幹部ら6人に疑惑の矛先が向き、身動きがとれないこともあって、派の「意思決定が」ができないという負の面を露呈していると言えます。 安倍派への対応については、自民党幹部の1人は「安倍派の政務三役15人は全て変えるべき」だと、安倍派一掃論を主張。一方で安倍派の政務三役の1人は「一斉に辞任というのはひどい話だ」と、別の閣僚経験者も「首相が党全体の問題と言っているのに、安倍派だけの責任にするのはおかしい」と、安倍派の内外から反発が出ています。 --岸田首相が総裁としてリーダーシップを発揮して安倍派への対応を決めればいいとも思いますが、難しいのでしょうか? 岸田首相自身も、100人を超える最大派閥に遠慮している面もあると言えます。 ある政府関係者は「安倍派一掃するのもいいが、安倍派を敵に回したら次の総裁選は勝てない」と、安倍派の恨みをかわないように、岸田首相自身が思い切って決断できない苦しさもあります。 --3つ目の次の候補者が「見えない」というのは、なり手がいないということですか? 人事を行う場合、誰を辞めさせるかと同時に、誰を起用するかが大事です。 11日、あるベテラン議員の入閣候補者は電話で「こんな状況で誰も受けたくない」と言っていました。 別の候補者に名前が上がっている人も、「後任に指名されても気分が悪い」と。別の閣僚経験者は「今の泥船の政権に入りたい議員はいない」と言っています。 人事を完成させるにあたって、次の候補が「見えない」のが難航している要因といえそうです。