滋賀が「近江県」に? 県名変更案に県は複雑
滋賀県はどう考えている?
当の滋賀県は、県名変更の実現性についてどのように考えているのでしょうか。滋賀県総合政策部企画調整課政策調整担当に聞きました。 「実は、2010年に県民を対象に行ったアンケートでは、7割以上の人が『現在の県名に愛着がある』、約8割の方が『県名は今のままがよい』と回答しています。こうしたことから、多くの県民は『滋賀』という名前を希望していると考えています。再度アンケートを行うかどうかも含め、県民のみなさんを始めとして幅広く議論していきたいと考えていますので、今すぐに県名変更の手続きをすることについては、難しい状況ですね」
現在の滋賀県の場所は、律令制が敷かれた時代(7世紀後半~10世紀ごろ)から「近江国」と呼ばれていました。廃藩置県後に近江の北が「長浜県」、南が「大津県」となり、さらに、それぞれが「犬上県」、「滋賀県」へと改称し、1872(明治5)年に両県が統合。大津県の県庁所在地が滋賀郡にあったことから、現在の滋賀の名称になった のだとか。とはいえ、県としては、「近江県」、以前には「琵琶湖県」という案も出たことに複雑な心境だそうです。 「『近江』という名称は日本書紀から使われていて歴史が古く、県外の方からすればそちらの方がなじみはあるのかもしれません。今回の一件で滋賀が注目されたという側面もありますが、要するに『滋賀』のブランドを明確に打ち出せていないことに問題があると考えられます。このため、現在進めているPR活動『MUSUBU SHIGAプロジェクト 』をはじめ、県の魅力をより強力に発信していく必要があると認識しています」 実際に県名を変更するとなると、法整備だけでなく行政的な手続きやコスト面においても高いハードルが待ち構えています。今回持ち上がった県名変更の議論は、自分たちにゆかりのある地域への愛着や誇りを深める一つのきっかけになるのではないでしょうか。 (南澤悠佳/ノオト、取材協力/総務省、滋賀県)