滋賀が「近江県」に? 県名変更案に県は複雑
先月行われた滋賀県議会の定例会議の一般質問会で、「滋賀」の認知度の低さから県名変更を求める提案が出たことに注目が集まりました。この背景には、「近江牛」や「近江米」といったブランド人気から、滋賀よりも旧国名「近江」の知名度が高いという見方があるようです。日経リサーチが行った調査「地域ブランド戦略サーベイ2013」でも、滋賀の認知度は37位と同率最下位だったのに対し、近江は29位、「居住意向」ランキングでも近江が上位にありました。 かつては、長野県でも「信州」への改称を検討する案が持ち上がった県名議論。そもそも、今の都道府県名はどのようにして決まったのでしょうか。また、県名変更に必要な手続きとは。総務省に聞きました。
明治時代の廃藩置県で現在の大枠
「現在の都道府県名に決まった大枠のいきさつは、1871(明治4)年に行われた『廃藩置県』がきっかけです。これにより、藩が廃止されて府と県が置かれました。その後、各地において府県の統合が行われ、明治21年に現在に至る府県の名称が確立したとされています。なお、東京は1943(昭和18)年の東京都制の施行により、東京府から東京都に変更されています」 なぜ今の名称に落ち着いたかは、それぞれ歴史的背景や諸説あるとのこと。では、県名を変更したい場合、どのような手続きを行うのでしょうか。
特別法の成立と住民投票が必要
「まず、現在の都道府県名は地方自治法第3条第1項で『地方公共団体の名称は、従来の名称による』と定められています。地方自治法は1947(昭和22)年に施行されましたが、ここで指す『従来の名称』というのは、それ以前に使われていた都道府県名の名称です。そして、同法第3条第2項には『都道府県の名称を変更しようとするときは、法律でこれを定める』とあります。今回の例でいえば、例えば『滋賀県の県名を●●県に変更します』という法律を国会で作らないといけないのです」 法律の制定には、衆参両院で過半数の賛成が必要です。今回のような場合は、憲法95条で「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」 とされています。そのため、国会で法案が通った後に行われる住民投票で過半数を得て、初めて県名を変更することができます。