「寿司とか絶対にムリ」食に無関心なドイツ人が日本でどハマりしたもの
● もし日本に生まれていたら? 「悪魔おじさん」の素朴すぎる回答 「初めて日本に来て驚いたのが自転車ファンの多さだ」と言うが、もちろんこれは自転車イベント会場で業務するばかりの悪魔おじさんから見た視点である。 「しかも若い女性が多いことに驚いた。これは自転車レースに熱狂的なイタリアにもない傾向だ。自転車レースは欧州が本場だけど、ファンの女性がサイクリングジャージを着て応援しているのを見ることは少ない。」 すでに30年以上もツール・ド・フランスの現場に足を運んでいるのに、ドイツ語以外は全く話せない。「こんにちは」とか「ありがとう」という最低限の会話も口にしないのだから、それはもう悪魔のポリシーだ。そのためにツール・ド・フランス主催者もコミュニケーション難となり、ドイツ選手が助け舟を出すという機会を何度となく目撃している。 「もし日本に生まれていたらどんな人生になっていたかを想像してください」と、ドイツ語通訳をお願いした都倉直子さんを介して最後に聞いてみた。 「今と同じような人生を送りたい。自分は東ドイツで生まれて、ほしい物がなかなか手に入らなかった。だったらどうしたかと言うと自分の手でそれを作って生活をしてきた。そんなバックボーンがあってものづくりの職人になった。日本で生まれても同じように職人になって、素敵な日本人の奥さんと結婚して、幸せな家庭を築きたいね」 出会ったすべての人にテンションマックスで応じるサービス精神。72歳にして世界を飛び回り、派手なパフォーマンスを見せる体力。揺るぐことのない鉄のポリシーと堅実なライフスタイル。今年も日本で暴れまくった悪魔が風のように日本を去っていった。 <ここでしか聞けない!ツールの裏話> 悪魔が出没する場所の見つけ方 実は、悪魔おじさんがどこに出没するかはコースの路面を見ていればすぐにわかる。悪魔が陣取っている場所のちょっと手前から、三叉の槍をもした白いマークが路面に描かれているからだ。 自転車ロードレースではゴールの手前1km地点に赤い逆三角形の旗「フラムルージュ(赤い炎)」を設置するのがルールとなっている。それに倣ったものだと思われる。
● 写真で振り返る 「悪魔おじさん」の日本滞在
山口和幸