「寿司とか絶対にムリ」食に無関心なドイツ人が日本でどハマりしたもの
「これまでいろいろな国に行ってきたけど、全てが自分の家、ホームだ。だが、着るものだってその土地に合わせたりしない。どこに行っても同じように過ごすだけだ」 日本文化はまずトイレで遭遇した。「便座が暖かいというのも幸せだったけど、トイレのウォシュレットのボタンを押したときは衝撃だった。生まれて初めて体験する感覚だった。こんなシステムがあればお尻が清潔でいられるし、紙も使わないのだから(本人談)エコで素晴らしい発明だと感動した」 来日した人に「日本の食事はなにが好きですか?」と質問すると、たいていはなんらかの日本料理がおいしかったと返ってくるはずだが、悪魔の返答は想定外だった。日本食は一切口にしないと言い切った。 「日本にいてもドイツで普通に注文できるものばかりさ。フライドポテトなどの洋食しか食べない。あとはピッツァが無難だ。日本の寿司は絶対にムリ。やっぱり魚は火を通していないとイヤだ。これまでの来日時に日本料理の焼き魚も食べたけど、やはり日本のものはほとんど合わない。ドイツにいれば焼いた魚だって普通に食べるよ。そもそも和食が口に合わない」 ドイツ人と聞くと、アルコールに強そうだと勝手にイメージしてしまうが、ビールをはじめとしてアルコール類は一切飲まない。「日本の伝統的な飲み物も口にしない。コーラなどヨーロッパで売っているもので十分だ。お茶だけは世界のどこへ行っても飲むけどね」とフォローしたが、話をよく聞くと砂糖を入れるようなお茶のことを指して発言しているようで、日本の緑茶ではないことは確かだ。 昨今の円安も悪魔にまったくメリットがないことも明らかになった。「自分で会計をしないからね。これまで日本のお金を手にしたことがない」という。海外大会の招へいに際してはツール・ド・フランス主催者が交通費・宿泊費・食費を現物で提供する。ギャラがなくとも期間中は貯金を切り崩すことはない。わざわざ日本の居酒屋に入って自腹を切る機会もなく、コンビニのレジでおにぎりを購入することもない。