58歳・川上麻衣子さん流「老い」との向き合い方。白髪染めをやめて1年で気づいた楽しみ
自分時間をもつことも大事に
そして私の次なる目標は「毎朝しっかりと新聞を読むこと」。 忙しい朝の時間を効率よく有意義に過ごす工夫と、「自分の頭で物事を考える」という本来当たり前であった行為をきちんと取り戻すこと。SNSなどを開くと、すべてがワイドショー化された形でしか入って来ない情報を一旦閉じて、自分の頭で考えたいと思うことが増えてきました。 なんだかとってもまじめ人間になったように映るかも知れませんが、昨年の秋に白髪染めをやめてから起きている変化の1つだなあと思うのです。 白髪染めをやめてから約1年の中で、自分の体に起きている変化を目の当たりにしながら「白髪と共存していくには凛とした姿が大切だ」と気づかされる場面が多くあります。隠さないと決めたのであれば、まずは背筋を伸ばし、自分という軸をしっかりと意識しながら、過去と未来に向き合うこと。
グレーへアに移行する自分がだんだんと楽しく
先日下町の祭りに参加した際に、新調してまだ2年目の「はんてん」を着て神輿(みこし)を担がせてもらいました(1枚目の写真)。まだまだ新入りの私を温かく迎え入れてくださる、地元の方々に感謝しながらの祭りは大いに興奮しました。そしてベテランの皆さんの年季の入った藍染のはんてんがなんと粋なこと! 自分のピカピカのはんてんと見比べて「新しいことが恥ずかしい」気分を久しぶりに味わいました。 年季、粋、凛。 日本にはいい響きの言葉がたくさんあります。「百年に一年たらぬつくも髪 われを恋ふらしおもかげに見ゆ」(伊勢物語より)。 白髪を、百から一を引いて白となることからくる「九十九髪(つくもがみ)」。なかなかおもしろい表現だと感心してしまいます。ただ、こちらは意味をたどると「百歳に1年足りない年を取ったボサボサの白髪の老婆が、私を恋しく思っているらしい。まぼろしになって見える」という意味とされています。 いやいや。ボサボサはいけませんね。というわけで、グレーヘアー現在移行中の私も「つや」をなにより心がけています。髪をかきあげてみるとかなり白くなってきました。しかし道のりはまだ長そうです。
川上麻衣子