「200万円を借金してでも20代を充実させる」大手商社マンの「危ない家計」を絶対に真似してはいけないワケ
現金預金は必ずしよう
結婚式、怪我、病気、納税、帰省など、いつだって「突如発生する出費」はある。筆者の貯金事情はと言うと、大学卒業前に始めたNISAのつみたて投資で貯金をしている気分になっていたので、1年前までは現金預金はほんの少ししかなかった。 友人も「大学生の時より残高が少なくて笑っちゃう」と話していたこともあり、安心していた。「自分だけじゃない」と思った瞬間に、貯める習慣を無視したのは、大きな間違いだったと深く反省している。 横川「ローンを組む前にも必ず思い出してほしいのですが、いくら若くてもずっと働き続けられるとは限りません。若いからといって、事故に遭ったり大病を患ったりする可能性はゼロではありません。 『ずっと働き続ける』前提で目先の決断をしていたら、いつか大変なことになってしまいます。その備えとして、現金預金は必ずしなければならないのです」 実は筆者も、社会人3年目が終わろうとする前に、適応障害になり1ヶ月休暇をとったことがあった。自己都合の休暇だったため保険金も下りない状況だった。当時は実家に帰省したものの、家賃は払い続けなければならず、仕事に戻った後も変わらず病院に通ったりする暮らしを続けなければならなかった。 同じくメンタルを崩して退職した親友は、退職金を受給し「最低限」の生活をしながら半年かけて転職活動をしていた。親友ながらに、その様子をそばで見るのは非常に辛かったのを記憶している。
今日からでも小さく「増やす」
続けて、横川氏は「増やす」習慣について語った。円安下で物価高が続く昨今、必ず押さえておきたい習慣だ。 横川「政府の後押しもあり、NISAのつみたて投資をする人がコロナ以降かなり増えました。それでも始めていない人はまだまだいると思いますが、将来どこかのタイミングで始めようと言わず、今日からでも『増やす』習慣をつけましょう。現金預金と同じく1000円でも、無理のない範囲で続けるのが大事です。 手間ではあるのですが、積立投資は毎月積み立てる金額を変えることができます。大事な資産管理の一環だと思って、小さな手間とも向き合いましょう。投資額を増やすタイミングですが、会社での昇進は1つのポイントとなります。数万円お給料が上がったら、プラス5000円でも積み立てる額を増やしていきましょう」 ちなみに家計管理が下手な筆者は、NISAのつみたて投資だけはコツコツ続けてきた。大学卒業前に口座を開設し、月1万5000円からスタートした。1年半ほど続けた後、副業などで手取り額が増えたタイミングで3万3000円に増やした。 今では100万円を超えるほど貯まってきたが、すぐに下ろせる現金ではないがゆえ、精神的な不安は変わらず大きいのが本音だ。 * * * 本稿では、筆者の友人のエピソードを引き合いに出して、お金の専門家である横川氏に家計管理に必要な3つの習慣を訊いた。つづく後編記事〈若手エリート社員でも「都内住み」生活は苦しいが…安易にすがってはいけない「たった1つの習慣」〉では、逆に家計管理にあたって避けるべき、ある「習慣」を紹介する。 ---------- お話を伺った方:横川楓 1990年生まれ。お金の教育を幼少期から受け、明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、現在は「やさしいお金の専門家/金融・経済アナリスト」として活動。 「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓蒙、金融教育の普及に取り組んでいる。 2022年1月には一般社団法人金融教育推進協会を設立し、代表理事となる。マネーコンテンツ制作や企業や官公庁のアドバイザー、セミナー講師、雑誌・WEB・テレビなどメディア出演多数。X(@yokokawakaede)にてお金の知識を発信中。 著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)『お金の不安と真剣に向き合ったら人生のモヤモヤがはれました! 』(オーバーラップ)がある。 ----------
ペ・リョソン(コラムニスト)