こんなはずじゃなかった…親の死後、「自宅の売却」に追い込まれてしまう人に共通していること
遺言書には「きょうだい仲良く」と書いてあった
ご紹介した3つの事例は遺言書が残されていました。いずれも「きょうだい仲良くして」「遺留分は請求しないで」というメッセージが記されていました。亡くなった人の意思や気持ちは汲み取れるものの、遺留分を侵害されている人には響かず、当然のごとく遺留分請求がなされているのです。 この3つの事例の財産の大部分は自宅不動産です。それぞれの土地の広さはというと、(1)Sさん100坪、(2)Uさん80坪、(3)Hさん115坪といずれもご自宅ですが広めの土地に実家建物が建っているということも共通しています。 言書は残してあり、自宅不動産を相続させる人は決めたが、財産の大部分が自宅土地のため遺留分を侵害してしまったという結論です。
遺留分対策、どうしておけばいいの?
夢相続で公正証書遺言の証人業務を受けるときには、遺留分対策も合わせてご提案します。財産の中に現金があればいいのですが、基本は生命保険などで遺留分相当の現金を渡せる用意をしておくことです。 それができない場合は、老朽化する自宅建物を建て直す際、建築費の借入をする、賃貸併用住宅にする方法があります。その場所から離れる決断ができるのであれば売却して、売れたお金で自宅と賃貸物件に分けて持ち変えておく方法もあります。 そうすることでして、借入のマイナスを使えたり、土地を小さくし、賃貸物件の減額を組み合わせることにより、評価が下がり、遺留分も減らすことができるのです。 Sさんの父親にも、Hさんの母親にも、遺留分対策の提案をしていましたが、建て替えや住替えの決断ができなかったようで、遺留分請求をされてしまったということです。これからの相続対策は遺言書で終わりではなく、遺留分対策まで実行しておくことが必須と言えるでしょう。
曽根 恵子(相続実務士)