こんなはずじゃなかった…親の死後、「自宅の売却」に追い込まれてしまう人に共通していること
【2】Uさんの場合…面倒も見なかった長男から遺留分請求され自宅を売却するしかなかった
◇長女、次女で両親の面倒を 長女は同居、次女は通って両親の面倒を看てきました。父親が先に亡くなり、自宅は母親の名義となりました。母親が亡くなった時には、自筆の遺言書がありました。 「長女、次女には面倒を看てもらって感謝しています。家や預金は長女、次女で2分の1ずつ相続させます。長男は遺言の内容を理解して、きょうだい仲良くしてください」と書かれていました。自筆の遺言書ですので、母親が亡くなった後、Uさんと妹で家庭裁判所に検認手続きを申請して、検認を受けることはできました。 ◇長男は同居もせず、母親の面倒も見なかったのに…… 長男は跡取りという意識が強い年代ですが、Uさんの兄は大学生になったときから実家を離れて生活して、そのまま、就職、結婚というタイミングでも実家に戻ることはありませんでした。結果、両親も兄に頼ることはできないと判断して、ずっと長女のUさんと同居してきたといいます。 Uさんの妹は近くに嫁いで子どもにも恵まれましたが、15年前に夫が若くして亡くなってしまい、子どもたちが独立したときには一人暮らしになりましたので、ずっと実家に通って父親の介護も担当し、母親の介護もUさんと交代でしてきました。長男夫婦はほとんど来ることもなく、介護の役割分担をする気もなかったようで、Uさんも妹も長男を頼りにしたこともありませんでした。 けれども、長男は当然のごとく遺留分請求をしてきたのでした。
【3】Hさんの場合…母親の財産に預金残なし。自宅を売却して払うしかなかった
◇離婚して実家に戻って生活、両親の面倒を看てきた Sさん(60代女性)は30代のころ、夫と離婚し、ふたりの子どもとともに、実家に戻って、両親と同居してきました。Sさんのきょうだいは、姉と弟がいますが、それぞれ結婚して、家から離れていますので、Sさんが実家に戻ったときには両親ふたりの生活となっていました。姉も弟も実家からはかなり離れたところで生活していましたので、両親はSさん親子が家に戻ってくることは大歓迎。その後、Sさんのふたりの子どもたちも就職や結婚で家を離れましたので、両親とSさんの3人の生活が長かったと言えます。両親が高齢になったとき、同居しているSさんが面倒を看ることは暗黙の了解があったと言えますが、それに甘んじて、姉も弟もまったく協力することはなかったと言います。 ◇遺言書がないと困ることは目に見えている 母親は自分が亡くなった時にSさんが困るだろうと思い、父親の遺留分が確定し、支払ってひと段落したころ、夢相続に相談に来られています。夢相続では公正証書遺言の証人業務を受けていますので、Sさんのお母さんの遺言書作りをサポートしました。 夢相続では、父親の相続の状況を聞き、現在は姉弟と絶縁になっていることから、今後も関係がよくなることは期待できないと判断し、公正証書遺言の作成をおススメしたのでした。 遺言執行者はSさんと記載されています。母親も自分の遺言書ができあがり、財産はSさんに託し、自分の相続の手続きは夢相続でお願いしたいと言われており、少し、安心されたようではありました。 けれども、案の定、母親が亡くなったとき、姉と弟から遺留分の請求がされたのでした。