日経平均株価は年末に4万円回復?「掉尾の一振」はなぜ起きるのか?【株のカラクリ】
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#139 今年11月の日経平均株価は3万8000~3万9500円のレンジ相場で足踏みしていたが、日本株には年末に向けて上昇するという経験則がある。これを「掉尾の一振」と呼んでいる。「掉尾」とは「物事の最後」という意味で、「魚が死ぬ前に尾を振ること」から、「物事の最後で勢いが盛んになる」ということである。 北海道千歳市「ラピダス」狂騒曲…半導体製造メーカー進出で土地や平均家賃は2倍に! その理由は4つだ。 ①配当再投資:11月下旬から12月上旬は3月期決算企業が中間配当(今年の総額は8兆円超)を支払う時期であり、これを受け取った投資家が市場に再投資することで株式市場の好需給をもたらす。 ②機関投資家の行動:機関投資家は12月に含み損解消のために株式を売却する傾向があり、それが一巡した後は年末にかけて保有株式の評価額を恣意的に上げる目的で、保有株の買い増し(いわゆる「お化粧買い」)をすることがある。 ③個人投資家の動向: 個人投資家はボーナス支給や新年への期待感や高揚感により、投資に積極的になる傾向がある。 ④「米国株も年末高」の影響:米国でも年末に向けて株価が上昇する傾向があり、「クリスマスラリー」ともいわれているが、これが日本株を牽引する材料となっている。 過去30年間の日経平均月別平均騰落率を見ると、確かに11月は+1.7%で2位、12月が+1.5%で3位で、年末の上昇率は高い。また、最近10年間で年間高値をつけた日にちを調べてみると、4回が12月だった。20年のように12月の最終週に高値をつけたこともある。 11月末の日経平均は、日銀の利上げ観測やトランプ次期大統領の関税引き上げによる日本企業の業績鈍化懸念などがあり、10月末比で2.2%の下落だった。しかし、その重荷を織り込みながら、下値が底堅くなっているのも事実。 ここに「掉尾の一振」のファクターが加われば年末に向けて4万円回復も十分あるとみているが、さて今年、経験則はどうなるだろう。 (丸)