「母親にも母親の人生がある」――女優でYouTuberで母、仲里依紗が「型にハマらない」理由
この心境にたどり着くまでには、幾多の試練があった。海と山に囲まれた長崎県東彼杵郡に生誕した仲里依紗は中学2年の2003年、少女漫画雑誌のモデルオーディションに応募。現在の所属事務所であるアミューズに見いだされ、卒業と同時に上京した。 「カリスマになりたかった。とりあえず、カリスマになりたかったんです、私。カリスマ、イコール、東京に行かないとなれない。女優というより、ギャルになりたかった。長崎に住んでいると、福岡まで行かないと好きなお洋服を買えないから、ギャルになれない。109の店員になって、渋谷を制覇したかったんです」 両親は、娘に3年という期限を設けた。高校在学中に芽が出なかったら、長崎に戻らなければならない。渋谷のカリスマを目指す彼女は、ハングリー精神の塊となった。太りやすい体質を改善するため、1回300円のジムに毎日通った。高校の寮で、自分だけ遊びに誘われていないと気付いても、全く羨ましさを感じなかった。 「両親に『東京って、怖かとよ。おそろしか』と教育されてきたんですよ。全員、敵だと思えと。完全に、田舎者の発想なんですけど(笑)。だから、自分しか信じないというか、自分の身は自分で守ろうと決意していたんです」
“お女優”ではない生き方を結婚が後押し
我が道を一直線に進んできたように見えるが、当初は“お女優”のレールを歩いていた。 「駆け出しの頃、服装も髪形も“清純派”を求められました。そういう作品も多かったし、イメージに沿わなきゃいけないと思ってました。でも、本当の自分ではないから、ファンの人が付いてもつらくなっちゃう。ピュアに見える女の子の真逆の一面を週刊誌で知ったら、『だまされた!』と感じませんか?」 お嬢さま役なのに、斜めに前髪を切ってしまい、必死にごまかしたこともあった。眉毛を細くしようとしたら、間違って真ん中に線を入れてしまい、ヤンキーのようになったまま、オーディションを受けたこともあった。