【年金相談】大学4年間の年金が猶予のままです。年金はどれくらい減りますか?
Aさんは大学生の時、「学生納付特例制度」を利用して4年間年金を払っていませんでした。しかし、この特例制度が支払いの“免除”ではなく“猶予”であったことを知って不安になっています。Aさんの年金、どのくらい減ってしまうのでしょうか。何か対応策はあるのでしょうか。ちなみに、Aさんは現在35歳、大学卒業後から会社員として勤務していて、定年まで会社勤めをしたいと考えています。
学生納付特例制度とは
日本国内に住んでいる20歳以上の人は、国民年金に加入することが義務となっています。ですが、学生の人は基本的に収入がないので、申請することによって在学中は保険料の支払いを猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。 学生納付特例を受けようとする人の前年の所得が一定以下(※1)の学生が対象です。なお、猶予の対象となる学校は、日本年金機構に「学生納付特例対象校一覧」で確認できます。学生であっても、学生納付特例の手続きをしていないと、保険料を支払わなければなりません。 (※1)128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等 ただし、学生納付特例は猶予であるため、将来の年金額には反映されません。年金額に反映するには、10年以内に追納(さかのぼって納めること)をしなければ、満額(40年)の老齢基礎年金を受け取ることができなくなります。ここで、Aさんを事例に解説します。
大学4年間は猶予のままに
Aさんは20歳で大学に入学。4年間在学し、在学中は学生納付特例制度を利用。卒業後に就職し、現在35歳です。このまま60歳の定年まで会社に勤めている場合、65歳から受け取る国民年金部分の老齢基礎年金は次のとおりです。 79万5000円×432月÷480月=71万5500円/年 (79万5000円は2023年度の老齢基礎年金の満額(480月)) Aさんが猶予されていた4年(48月)分を追納しないまま、60歳の定年で、65歳から受け取る老齢基礎年金は71万5500円となり、満額から7万9500円も減額してしまいます。