【年金相談】大学4年間の年金が猶予のままです。年金はどれくらい減りますか?
60歳(定年)以降の働き方で変わる
Aさんが、年金額を増やす方法として60歳(定年)以降の働き方で、減額された7万9500円を補うことができます。 ■ケース1:国民年金に任意加入する。 60歳以降、社会保険に加入しない場合、手続きすることで国民年金の任意加入ができます。任意加入は、65歳までの間に満額(480月)になるまで、保険料を納付することでき、満額(480月)もしくは65歳になるまで年金額を増やすことができます(年金の受給資格期間のない人は70歳になるまで)。 Aさんは60歳から4年(48月)任意加入すると、満額(480月)になります。さらに年金額を増やすことを考えるのであれば、48月の保険料に付加保険料月額400円を上乗せすることをお勧めします。付加保険料は受け取る時には付加年金、月額200円となり、2年で「もと」が取れるお得な年金です。 ■ケース2:社会保険に加入する働き方を続ける 定年退職後、再雇用や再就職し、社会保険に加入します。厚生年金保険は70歳になるまで加入できます。60歳以降もしくは20歳前に厚生年金保険に加入すると、国民年金側で反映されない部分を厚生年金保険の「経過的加算(差額加算)」で補うことができます。つまり、老齢基礎年金相当額(定額部分)が加算されるのです。 Aさんの場合、20歳過ぎてから厚生年金保険加入しているため、60歳以降も働くことで、経過的加算額は老齢基礎年金額相当に増えます(猶予期間)。厚生年金保険加入が480月ある人は、定額部分と老齢基礎年金との差額となるため、少額の増加しかありません。 社会保険に加入する働き方をすることで、厚生年金保険部分の報酬比例部分と経過的加算を受け取ることができ、学生納付特例部分を補うだけでなく、上乗せ部分の老齢厚生年金の報酬比例額も増やすことができます。
まとめ
Aさんのように学生納付特例制度を利用し猶予した人は、卒業後に追納しない限り、将来の年金額は減額してしまいます。ですが、追納できなかった人は、60歳以降で猶予額もしくは猶予相当額を補うことができます。 Aさんは35歳なので、高齢期の年金を受け取るまでには長い期間あります。制度を理解し、定年後も働くことを目標にすると、将来の年金額を増やすことができ、長生きリスクの備えとなるでしょう。 出典 日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度 日本年金機構 任意加入制度 日本年金機構 か行 経過的加算 執筆者:三藤桂子 社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
ファイナンシャルフィールド編集部