エンジン内の汚れが気になる時には「フラッシング作業」で改善可能!?
出てきたオイルの「色」がズバリ内部の汚れ
フラッシング走行後は、エンジンが冷える前にフラッシングゾイルをしっかり排出して新しいエンジンオイルを規定量注入しよう。きれいな廃油受けやバットに洗浄後のフラッシングゾイルを受ければ、フラッシング作業によって汚れた状況を目視確認することもできる。 【POINT】 ▶ポイント1・従来の洗剤ケミカルではないオイルベースの洗浄剤なので、エンジン始動しながらエンジン内部を効果的に洗浄できる。 ▶ポイント2・従来の洗剤ケミカル利用時は走行できないし、してはいけない。トラブル発生の原因になるので要注意 ▶ポイント3・フラっシングゾイル利用後は、通常のオイル交換が可能。2度3度とオイル交換し直す必要は無い 長年に渡る走行によって、エンジン内部はオーナーが想像している以上に汚れていることが多い。定期的かつ徹底的にオイル交換を行っていたとすれば(一般的には2~3000キロ走行毎)、エンジン内部の汚れは少ないが、墨汁のような真っ黒なエンジンオイルのままで、しかも気が付いた時にはオイルレベルは下限近くに……。実用的に利用しているバイクあるあるが、このような症状だろう。走行によって、オイル消費があるエンジンなら尚更、エンジン内部は相当に汚れていると思われる。そのようなエンジンを本調子に戻すには、もはやオーバーホールしか手段は無い。 オイルコンディション維持に的を絞った時に、大きく影響する問題のひとつにエンジン内部の汚れがある。エンジン内部が汚れたままでオイル交換を行なっても、オイルの清浄作用によって、油アカやスラッジなどが新油に洗い流され(オイルが温まると清浄効果はより高まる)、交換したばかりのエンジンオイルが、すぐに黒く汚れてしまう症状が発生するのだ。過去にそのような経験をしたこと、ありませんか? エンジン内部の汚れ落しは、エンジンを分解して各パーツ単品で徹底洗浄するのが確実かつ効果的だが(エンジンのオーバーホールと同時に)、それは少々面倒なことでもある。すでに白煙を噴いているようなエンジンなら、覚悟を決めてオーバーホールに取り掛かるしか無いだろうが、そうではなく、エンジン内部が汚れていることに気が付いた際には(タペットキャップの内側やエンジンケースカバー内側、オイルフィラー内側が真っ黒になっていたときなど)、できる限り早めに対処しておきたいものである。ちなみにオイル上がりしている否かの状況を手っ取り早く知る方法りひとつに「マフラー排気口の内側をウエスで拭く」というのがある。真っ黒なオイルがベットリ付着しているような場合は、少なからずオイル上がりもしくはオイル下がりが発生していて、状況次第では、エンジン腰上のオーバーホールが必要となることもあるだろう。 エンジン内部の汚れを効果的に洗浄にする手段として知られているのが、フラッシングである。一般的なフラッシング剤は、洗剤系の商品が多く、フラッシング時にエンジンを回し過ぎてしまうと、逆にエンジンにダメージを与えてしまうこともある。有機溶剤や洗浄剤で構成されている一般的なフラッシング剤は、高い洗浄効果がある一方で、潤滑性能が極めて低いため、間違った使い方をするとエンジンにダメージを与えてしまうことになるのだ。ところが「フラッシングゾイル」は異なっている。高い洗浄効果を持つナフテン系オイルをベースにスーパーゾイル成分を添加し、フラッシングしながらも金属表面を再生するスーパーゾイル効果を得られる商品でもある。何らかの液体やエンジンオイルに混ぜて使う商品ではなく、フラッシングゾイルのみでエンジン内部を洗浄できるのも、大きな特徴と言えるだろう。 具体的には、エンジン暖機後にエンジンオイルを抜き取り、次にフラッシングゾイルを注入。この際は、オイルフィラーゲージの「下限」まで注入すれば良い。フラッシング作業は低速実走行で行うことができる。走行することでエンジン内部の洗浄効果がより高まるのはご想像いただけるだろう。単なるアイドリングで時間をやり過ごすのと、低速走行で負荷を掛けるのでは、洗浄効果に違いが出て当然なのだ。あくまで低回転域(2500~3000rpm前後)での実走行になるが、走りながらフラッシングすることで効果的に洗浄できる。フラッシング後は、エンジンオイルとオイルフィルターを抜き取り、新しいエンジンオイル&フィルターに交換れば良い。フラッシングゾイルが多少残留していても問題は無い。さらに作業後は、抜き取ったフラッシングゾイルを確認してみると良い。注入時の無色透明とは異なり、驚くほど黒くなっていることに気が付くはずだ。 あるエピソードだが、オーバーホール前にオイルパンを外して内部を覗き込むと、クランクケース内部やエンジンパーツが黒く汚れているのが目立ったそう。そこで、フラッシングゾイルを注入し、30分間のエンジン始動を午前中に3回、午後に3回行い、その後フラッシングゾイルを抜き取ると、無初期透明だった液体が墨汁のように真っ黒になっていたそうだ。その後、エンジンを分解したら、フラッシング前に覗き込んだ状況とは様変わりしていて、決して酷い汚れではなかったそうだ。つまり、エンジン分解後のパーツ洗浄作業を「分解前のフラッシング」で行うことができたのだ。
たぐちかつみ