米議会がトランプ氏の当選認定 今回は混乱なし 進行役はハリス氏
米連邦議会の上下両院合同会議は6日、2024年11月の大統領選の公式集計を実施し、共和党のドナルド・トランプ次期大統領(78)の当選が認定された。前回の21年の公式集計手続きは、敗北を認めないトランプ氏の支持者らによる議会襲撃で一時中断する事態となったが、今回は混乱はなかった。トランプ氏は20日に首都ワシントンで就任宣誓式に臨み、次期政権を始動させる。 上下両院合同会議では、一般投票の結果に基づいて全米50州と首都ワシントンで行われた選挙人投票の結果が報告、承認された。人口などに応じて各州に割りあてられた538人の選挙人のうち、トランプ氏が312人、民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)が226人を獲得した。 合同会議では上院議長を兼務するハリス氏が進行役を務め、ライバルの当選を見届ける皮肉な状況になった。ハリス氏が勝利した州の報告や得票数の発表の際には、民主党議員から拍手が送られた。一方、副大統領に就任する共和党のJ・D・バンス上院議員(40)も臨席し、当選認定後は共和党議員から記念撮影や握手を求められていた。 トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「我々の最も偉大な選挙での勝利の認定は、歴史上の大きな出来事だ」と自賛した。 議会周辺では4年前の議会襲撃を受けて、警察が幾重にもフェンスを設置し、自動小銃を携帯して巡回するなど警備を強化した。6日は朝から雪が降ったため、出歩く人はほとんどおらず、混乱はなかった。 トランプ氏は就任後、議会襲撃事件で訴追された自身の支持者の一部に恩赦を与える方針を示している。民主党のジョー・バイデン大統領(82)は米紙ワシントン・ポストへの寄稿で「あのような恥ずべき襲撃が再発しなかったことを喜ぶべきだが、事件を忘れるべきではない。あの日の歴史を書き換え、消し去ろうとする工作がずっと続いてきた」と警告した。 連邦上院では今後、トランプ氏が指名した閣僚らの人事承認手続きが始まる。国防長官候補のピート・ヘグセス氏や国家情報長官候補のトゥルシー・ギャバード氏らは、共和党内にも資質を疑問視する声があり、公聴会での質疑が注目される。【ワシントン秋山信一】